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2020年の小売業界振り返りと2021年に予測されるECトレンド7選

新型コロナウイルスの影響によって、人々の生活は誰も想像していなかったレベルで大きく変化した2020年。とりわけ消費行動の変化は著しく、中でもECを取り巻くそれには興味深い動向が見られました。

本稿では、そんな激動の2020年におけるEC業界の出来事を振り返りつつ、2021年に見られそうなECのトレンドを予測していきたいと思います。

【目次】

加速したECトレンド。2020年を振り返る

2020年はご存知の通り、市場のあらゆる出来事が新型コロナウイルスの影響を大きく受けた年となりました。

内閣府の発表によれば、2020年4月から6月におけるGDP(国内総生産)は、緊急事態宣言や外出自粛によって国民の消費活動が大きく制限されたことによってマイナス28.8%と歴史的な急落を記録しています。

一方で、緊急事態宣言が解除され、人々が徐々に経済活動に目を向け始めた後に迎えた7月から9月では、前月までの反動もあってGDPの実質伸長率が22.9%(2020/12/8内閣府発表)と、1980年以降で最大となりました。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2020/qe203_2/pdf/gaiyou2032.pdf


四半期別GDP速報 - 内閣府

この伸長率はバブル経済期さえも超える数字ではあるものの、4月−6月の落ち込みが激しすぎたこともあり、新型コロナウイルス感染拡大前の水準には至っていません。

とはいえ、夏場以降のGDP伸長を支えた主な要因は個人消費の増加であり、まだまだ不要不急の外出を避ける空気がある中で、個人消費を促進したのはECサイトの存在であることは疑う余地がありません。

コロナ禍という環境は、既にECサイトを常用していた消費者のみならず、これまであまり利用してこなかった高齢者や、10代の消費者のECサイト利用を大きく伸ばす要因になっています。

変化した消費者の購買行動

消費者の購買の中身に注目すると、そこにもコロナ禍の影響が色濃く見て取れます。

ステイホーム、リモートワークといったキーワードが表しているように、家の中でいかに快適に過ごせるか、という観点の消費が増加しました。

書籍や動画、コレクターアイテム、「三密」を避けることができるサーフィンやキャンプのようなアウトドアなど、様々なタイプの趣味における消費、パソコンパーツやデスクなどリモートワークの質を高める消費、外食できないぶん、自宅で贅沢なグルメを味わう中食消費などがそれにあたります。

また、アパレルの分野でも、部屋着と外出着の中間のような、ストレッチ素材でリラックスできるけれども、オンラインミーティングや必需品の買い物で人前に出るのにも適している「ワンマイルファッション」といった、これまでになかったカテゴリの洋服の消費が増えるといった変化が見られました。

2021年に予測されるECトレンド7選

続いて、来る2021年におけるECトレンドを予測していきます。様々な変化が予測されますが、ここでは7つの動向・潮流に絞ってみました。

自社ECと大手モールの併用、複数チャネルの活用

これまで、ECチャネルを自社の販売チャネルに取り入れる場合、多くの企業は「ECプラットフォームか、自社ECか」という二者択一を採ってきました。そして、ECに十分に投資ができる場合は自社EC、そうでない場合はECプラットフォームを、という判断が一般的でした。EC参入初期は、インフラもシステムも既に整っているECプラットフォームを利用しつつ、事業が拡大し、投資が十分に行えるようになった段階で満を辞して自社ECを開発、といった計画を立てる、といったイメージです。

しかし今後は、ヘッドレスコマースなど、タッチポイントの追加や開発の自由度が高いECが主流になり、自社ECを持つことが当たり前に、加えて、Amazonや楽天など大手ECプラットフォームも併用していくことが常識となっていくと予測します。これは、スマートフォンを起点に様々なチャネルを自由に行き来する消費者の動向から考えても、各プラットフォームの特長を活かしつつ、タッチポイントを可能な限り増やすことが、売上を伸ばすにあたって理に適っているからです。

購買のきっかけになるSNSはInstagram、Youtubeが主流へ

特にミレニアル世代より若い世代に対してECサイトへの導線を用意する場合、今後ますますSNSの重要性は増していくものと考えられます。中でもInstagram、YouTubeは購買へのキッカケを作るにあたり主流のSNSになるものです。

ミレニアル世代、Z世代の消費者は、オンラインチャネルと実店舗をより自由に行き来することが特長であり、購買行動の初期段階ではSNSが商品への興味関心を高める重要なチャネルとなっています。

Instagramは、これまでも、「自分の生活を彩るインスピレーションを得る場」として活用されてきており、商品そのものを見せるというよりも、「その商品があることでライフスタイルがどのように魅力的になるか」という世界観を見せる方が効果的でした。その流れは今後も変わりありませんが、近年は「ShopNow」という機能で自社ECへの連携が可能になるなど、直接購買を促すチャネルとしても期待ができるようになっています。

YouTubeは、インフルエンサーを活用したライブコマース、といった形で、より世代の気分をうまく捉えるコンテンツをうまく絡めることで、購買意欲を効率よく高めることができるチャネルであると言えるでしょう。

BtoB-ECの普及によるデジタルシフト

企業向け業務管理システム開発を手掛ける株式会社アイルの調査によると、BtoB企業における商品受発注に関して、現状85%の企業が、電話やFAXなどアナログな手段を用いていることがわかりました。しかし、今後はあらゆるBtoB企業が、ECを用いて受発注を管理する時代に突入すると予測します。

これには明確な理由があります。これまで受発注や出荷・納品、請求と支払いといった企業間取引で発生する文書のやり取りには、それらのやり取りを電子化するEDIが広く一般に用いられてきましたが、EDIは売り手の導入しているシステムに買い手が合わせなくてはならないため、買い手主導の取引を生みやすく、導入コストが取引企業ごとに必要になるというデメリットがあります。加えて、2024年にはEDI通信に利用している固定電話回線の廃止という決定的な問題が控えているのです。現在EDIは固定電話回線を用いていますが、NTTが2024年に固定電話網をIP網に移行すると発表しており、EDIも既存のシステムが使えなくなることがわかっています。

このような理由から、これまでEDIで行ってきた業務をデジタルシフトし、BtoB−ECで行うことで解決する動きが加速するでしょう。BtoB−ECを用いれば、作業時間やアナログコスト、処理の人的ミスなどを削減し業務効率化に繋がるため、現状、既に導入を検討している企業は多いです。

D2C-ECが増加、ブランド戦略も活発に

近年、D2Cというビジネスモデルが注目されていますが、その流れは今後ますます加速していくと予測します。

その理由として、一つには消費者のマインドが挙げられます。株式会社ネオマーケティングの調査によると、顧客がファンを自認するブランドの商品をオンラインで購入する場合、「大体直販を選ぶ」、「その他のサイトと値段に差がないのであれば直販を選ぶ」と答えた人が過半数を超えており、ECプラットフォームを優先する人を上回る結果が出ています。その理由は様々ですが、主にアフターケアなどのサービスに期待されていると言えます。

https://neo-m.jp/investigation/2581/

「D2C」に関する生活者の購買行動やブランドへの意識を徹底調査!生活者目線で見たD2C実態調査:株式会社ネオマーケティング

2020年、リモートワーク事情を支えてきたコクヨも、11月30日に、豊富なオフィス家具を個人で購入できるD2C−ECを開設したばかりです。

D2C−ECは、単にメーカーから直接商品を販売すればいい、というものではなく、ブランドの世界観を醸成し、消費者に強い共感を抱いてもらう必要があるため、D2C−ECサイトの開発には、自ずと綿密なブランド戦略の立案が紐づいてきます。2021年のEC業界は、このブランド戦略もより活発になっていくことでしょう。

越境ECが活況へ。海外からの売上増

当然のことながら、海外でもコロナ禍の影響によるECサイト利用の増加が見られており、その中で越境ECサイトも活況となりました。

特に、2020年は日本国内同様、趣味として楽しむ日本発のコンテンツ(アニメ、ゲーム、音楽など)の海外からの購買が活発であり、そこから世界的なヒットも生まれています。その流れは2021年も継続していくと予測します。

越境EC国内最大級のBEENOSの調査によると、インバウンド需要が壊滅的だった2020年、相対的に越境ECの流通総額は年々増加しており、BEENOSが展開する「Buyee」の流通総額は前年比48.7%も増加、過去最高を記録したそうです。

また、これまで越境ECの市場と言えば中国がメインといった風潮にありましたが、米国やヨーロッパでの伸長率が高くなっているのも近年の傾向と言えそうです。

バーチャルショップ、バーチャルトラベル。仮想空間の活用広がる

これまでも、ARやVRが「ブランド体験」の一環として取り入れられてきた施策は数々ありますが、2021年はより実践的に、ECサイトの売上に貢献する形での仮想空間の活用が広がると予測します。

たとえば、世界のECをリードする存在と言えばAmazonですが、Amazonは2020年9月末に、バーチャル体験型のマーケットプレイス「Amazon Explore」をローンチしました(日本ではまだ利用できません)。これは、Airbnbが展開しているオンラインエクスペリエンスと同様のサービスとなっており、ユーザーは自分の興味関心に合わせて様々な体験(料理やバーチャルツアーなど)の中から好きなものを選び、ライブストリーミングを見ながらバーチャルガイドの案内でその体験を楽しむことができるサービスです。

「Amazon Explore」の動画のほとんどにはEC機能が組み込まれており、バーチャルガイドは、体験をサポートするだけでなく、体験を通じて商品に興味を持ったユーザーに対するショッピングのサポートも行うようになっています。

このような仮想空間での体験を通じ購買意欲を促進し、その場で購買チャネルも提供する形のECサイトは、技術の進歩とともに仮想空間の再現性が高まるに連れて、どんどん増えていくでしょう。

物流システムが店舗受け取りサービスを提供

ECサイトにおけるサービスの要は、迅速かつ確実な配送を実現する物流網にあると言えますが、その完成された物流システムを持つ事業者が、第三者に対してそのシステムをサービスとして提供する流れが来ると予測します。

特に、オムニチャネルの重要性が今後の事業成長の鍵を握る今、仮に実店舗を持たずECのみを展開している小売企業が、店頭ピックアップをユーザーに提供できるようになることは大きな意味を持ちます。

あるいは、自社の実店舗だけでは数が不十分であると感じる企業にとっても、同種のサービスによってタッチポイントを増やすことができれば、それはユーザー体験を向上させる大きな戦力になるはずです。

たとえば、丸井グループの物流事業企業である株式会社ムービングは、2020年の11月よりECサイト「駿河屋.jp」で購入した商品のマルイ店舗での受け取り対応を開始しています。

デジタルシフトで「2025年の崖」を超えるECを

今稼働している様々なシステムの複雑化・老朽化が引き起こす経済停滞のリスクを指す「2025年の崖」まで、5年を切った2021年。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、それぞれの企業が無事に2025年の崖を乗り越え、成長を続けるために必要なデジタルシフトのことであり、小売企業にとってECを取り巻くデジタル環境は、その心臓部であると言っても過言ではありません。

今後はECという形態で販売する商品もますます幅広く、これまで想像もつかなかったものまでECサイトで販売する時代がすぐそこまで来ています。

たとえば、ラクスルはこれまで「広告代理店とテレビ局」という、まさにブラックボックスの中で取引をしていたCMを放送する広告枠の売買までEC化したサービスをローンチして話題となりました。今後は、あらゆる消費者が対価を支払うサービスが「EC化」していくことが常識となっていくのかもしれません。

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