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Googleが2年後にCookie廃止と発表:影響を読み解く

Googleは、2022年までにサードパーティCookieのサポートを完全停止する予定だと公表しています。
とはいえ、これだけではネット広告についての知識がないと、ネットの世界がどのように変わるのか分かりにくいかもしれません。この記事ではニュースを読み解くために、

  • Cookie(ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違い)について
  • CookieとWeb広告の関連性について
  • Cookie廃止の背景にある世界的な動き

などを順に解説し、Cookie廃止について分かりやすく紹介します。

目次:

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Web広告の種類:Cookieを理解するための予備知識

Cookieについて知る前に、現在のWeb広告にはどのようなものがあるのかをチェックしてみましょう。
ネットのコラムやTV、ラジオなどで店舗や商品が取り上げられることも広い意味では「広告」ですが、ここではCookie廃止に関連のあるインターネットのバナー広告など、いわゆる純広告についての基本的な語句を紹介します。

テキスト広告

テキスト広告は、その名称の通り、文字だけでアピールする広告をさします。キャッチコピーや商品あるいは店舗の説明文を、Web媒体の広告スペースに記載します。その文章は、広告主のWebサイトにリンクするようになっており、クリックすれば広告主のサイトにジャンプできるようになっています。
現在Googleのテキスト広告は

  • 広告見出し
  • 表示URL
  • 説明文

という3つの要素で成り立っています。
広告見出しは3つまで設定することが可能で、それぞれ半角30文字までレイアウトできます。
説明文は2つまで掲載することができ、それぞれ半角90文字まで入れることができます。

・Google広告ヘルプ「テキスト広告について」
https://support.google.com/google-ads/answer/1704389?hl=ja

バナー広告(ディスプレイ広告)

バナー広告は、Webページおよび検索エンジンの広告枠に表示される画像や動画などを活用した広告です。広告枠内をクリックすると、広告主のサイトにジャンプできるようになっています。
従来は最適に見えるサイズをあらかじめ設定する必要がありましたが、近年では、広告枠に合わせて自動でサイズや表示形式が調整されるレスポンシブ広告が多くなっています。

デモグラフィックターゲティング広告

閲覧者の年齢や性別といった属性情報を活用して、最適な広告を配信する手法をデモグラフィックターゲティング広告といいます。
ユーザー属性を絞り込むことで、必要としているユーザーに情報を届けやすくなり、広告のクリック率がアップする効果が期待されます。
またこれは、不要な広告をユーザーの目にふれさせないことにもつながります。

エリアターゲティング広告

閲覧者の属性ではなく、閲覧されている地域を限定して配信する広告をエリアターゲティング広告といいます。
国や都道府県、市区町村まで細分化して配信のターゲットを絞り込むことができます。
実店舗の集客やイベントの告知などに効果的な広告です。

PRC広告(リスティング広告)

PRC広告(リスティング広告)は、検索連動型広告と訳されます。
検索エンジンでユーザーが検索したワードと連動して表示されるスポンサー広告が、それにあたります。
ネットユーザーが今現在興味関心をもっているトピックが広告として表示される可能性が高く、それゆえにほかの広告よりもクリック率が高いという特徴があります。
広告料はクリックされた数に応じて加算されるようになっていて、この仕組みからPPC広告(Pay Per Click/クリックに応じて支払う)ともいいます。
広告主は任意のキーワードを指定でき、複数のキーワードを組み合わせることでよりターゲットを絞りクリック率を上げることができます。

リターゲティング広告

リターゲティング広告は、広告主のWebサイトを訪問したユーザーを追跡して広告を配信し、再びWebサイトを訪問してもらうようにはたらきかける広告をいいます。

Cookieとは:ファーストパーティCookieとサードパーティCookie

では次に、そもそもCookieとは何か、ファーストパーティCookieとサードパーティCookieにはどのような特徴と違いがあるのかについてみていきましょう。

Cookieの働き

Cookieは、特定ページを訪れた履歴および入力情報を記憶しておくオンライン識別子で、Webブラウザでサイトを閲覧した時に作成されます。

閲覧者が訪問したWebサイトのドメインから直接発行されているCookieを、ファーストパーティCookieといいます。
利用環境やIPアドレスも記憶され、一度入力したユーザー名やパスワードは自動で入力されます。

サードCookie、あるいはサードパーティCookieは、訪問したサイト以外のドメインから発行されるCookieを意味します。
通常、Webサイトにバナー広告やユーザーがアクセスしたサイト以外のドメインがある場合には、ファーストパーティCookieとサードCookieの両方が付与されます。

ファーストパーティCookieの特徴

ファーストパーティCookieは、ユーザーからブロックされるリスクがほとんどなく、精度の高いトラッキングができるCookieです。
なお、ドメインを横断するかたちでのトラッキングは不可で、異なるデバイスによる同一ユーザーのアクセスは、別ユーザーと認識されます。

ファーストパーティCookieにはサードパーティCookieよりも多くの情報が含まれているため、広告に活用するためには慎重な取り扱いが要求されます。
また、サイトの負荷要因のひとつでもあるため、安易に乱用することはできません。従来の広告主が、ファーストパーティCookieではなくサードパーティCookieを広告に用いるのは主にこうした理由が原因でした。

サードパーティCookieの特徴

サードパーティCookieは、ファーストパーティCookieと違い、サイトに負荷をかけることなく利用できるという特徴があります。
ドメインを横断してのトラッキングが可能で、それゆえにトラッキング広告に活用されていました。

サードパーティCookieと広告の関係

広告は、アドサーバーからサードパーティCookieを発信します。
電化製品の比較サイトを見た後にほかのサイトを閲覧しても、広告欄に家電品の広告が表示されるのは、広告から発信されたサードパーティCookieがユーザーの動向を把握しているからです。
そのため、サードパーティCookieをトラッキングCookieと呼ぶこともあります。
GoogleがサードパーティCookieの提供を廃止すると広告に大きな影響が出るというのは、つまりアドサーバーからサードパーティCookieを発信することができなくなり、ユーザーに合わせた効果的な広告が事実上発信不可になる可能性があるからです。

なぜCookieは規制や提供廃止に向かうのか

広告業界にとって便利なCookieですが、現在、Cookieは規制される方向に舵がきられています。
ネット上の個人情報を保護しようという意見が高まり、EUでは「GDPR(一般データ保護規則)」という規則がすでに施行されています。
GDPRは、「Cookieをはじめとするオンライン識別子」を個人情報と定義しています。EU圏では、サイトユーザーの同意を得ないままCookieを取得することを原則的に禁止しており、もしもサイト運営者が不適切に活用した場合、多額の制裁金を課すことを宣言しています。

現在の日本は、ネット上の個人情報取得に関してそれほど厳格にルールが定められているわけではありません。
しかし、欧米や中国ではインターネットにおける個人情報の取り扱いに関する規制や厳格なルールが定められている以上、日本も対応せざるを得ない状況にあるといえるでしょう。現に、国内でも公正取引委員会がCookieに関する規制を検討していると発表しています。
なお、GDPRについては、「GDPRとサイバーセキュリティ法:日本に与える影響ととるべき対策」の記事にまとめられています。

Cookieを取り巻く流れに変化を及ぼすITP

Cookieの取り扱い状況に付随するものとしてもうひとつ、ITPの存在をおさえておく必要があります。
ITP(Intelligent Tracking Prevention)とは、iPhoneに標準搭載されているブラウザSafariに実装されている機能です。
ITPの機能は、Safari上でサードパーティCookieが付与されてから、24時間後に読み取り制限をおこなうというものです。

この機能の実装はiOS11からですが、iOS12からは、サードパーティCookieを即時削除するようアップデートされたITP2.0が実装予定とされています。
つまり、Safariでは事実上サードパーティCookieを利用した広告配信が意味をなさなくなるということです。Googleが2年以内に実施する予定の規制を、Appleはすでに施行しているという見方もできるでしょう。
ちなみに、SafariのユーザーはChromeの3分の1とされています。

FirefoxもすでにサードパーティCookieをブロック済み

実は、米国Mozilla社によるブラウザFirefoxも、Chromeに先駆けるかたちですでにサードパーティCookieのブロックを実行しています。
EUのGDPRや、SafariのITP技術など、全世界的な流れはサードパーティCookieの廃止に動いています。そのため、ブラウザのシェア6割とされるChromeが2022年までにサードパーティCookieのサポートを停止することが、従来型の広告配信にとどめをさすようなかたちになるのではないでしょうか。

GoogleによるCookie廃止でECはどうなる

サードパーティCookieの活用ができなくなっても、Web広告が消滅するわけではありません。ユーザーの個人情報保護を念頭においた広告技術はすでに使われ始めています。

サードパーティCookie廃止でも運用できる「IDFA」と「AAID」

IDFA(Identifer For Advertising)は、iOS端末の広告識別子です。
Android端末の広告識別子は、AAID(Google Advertising ID)といいます。
これらは各端末でのユーザーの行動をトラッキングして、その情報をもとに広告配信するために使われます。
アプリを運用している企業、アプリ関連広告を配信したい企業が使います。
行動をトラッキングするというと、Cookieと同じ機能をもっているように思えますが、IDFAは個人の特定ができないようになっています。
そのため、個人情報保護の規制に抵触することはありません。個人を特定することなく、効果的な広告配信がおこなえる情報だけを追える識別子です。

Googleはプライバシーサンドボックスを計画中

プライバシーサンドボックスは、Googleが2019年8月にコンセプトを発表した計画です。
これは、ユーザーデータの取引におけるWeb標準を定める計画で、Googleと広告プラットフォームやパブリッシャーとが協力して、個人のプライバシーを保護しながら安全なデータ取引をおこなおうというものです。
背景には、IPアドレスなどユーザーが管理不可能なデータからリターゲティングを実施する、いわゆる「フィンガープリント」などの広告手法からユーザーのプライバシーを守ろうとする動きがあります。
GoogleがサードパーティCookieのサポートを終了する時期を2年以内と公表したのは、プライバシーサンドボックスの実現について具体的なスケジュールが整ったからではないかという見方もあります。

まとめ

ChromeのサードパーティCookie廃止のニュースは全世界で大きく取り上げられましたが、Web広告そのものが消えてなくなるわけではありません。
むしろCookieに頼らない手法で、ユーザーにとっても利便性の高い広告を活用することで、よりよいユーザーとのマッチングが実現する可能性もあります。

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