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企業が抱えるSNS運用の課題とは?ビジネスの活用事例と運営のコツをご紹介


スマホの普及に伴い、SNSの利用者は急増しています。その結果SNSは単純なコミュニケーションツールにとどまらず、購入チャネルへと進化していきました。SNS時代となった今では、小売業も続々とSNS運営を始めています。



しかしSNS運営を始めたものの、効果が出ない・リソースが足りないと悩む担当者も少なくありません。小売業が知っておきたい、SNS運営における課題と目的達成のために必要なポイントを解説します。



SNS利用者の上昇に伴いビジネスの活躍にも注目



LINEやTwitter、InstagramといったSNSは、スマホユーザーの増加に伴い急速に普及しました。小売業も、このSNSツールによる盛り上がりを見逃してはなりません。



スマホの普及とともに浸透したSNS



2012年時点でSNS利用者はスマホユーザー全体の41.4%でしたが、2016年になると71.2%にまで増加しています。※1
これは、2010年代にスマホが普及し始めたことが大きく影響しているでしょう。



※1参照 総務省29年版白書 SNSがスマホ利用の中心に より

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc111130.html


2020年時点での、各SNSにおけるMAU(月間アクティブユーザー数)は以下の通りです。※2



  • LINE:8,600万人


  • Twitter:4,500万人(2017年以降発表なし)


  • Instagram:3,300万人(2019年以降発表なし)


  • Facebook:2,600万人(2019年以降発表なし)


※2 参照 2021年6月更新! 12のソーシャルメディア最新動向データまとめ

https://gaiax-socialmedialab.jp/post-30833/


上記の数字を見てもわかる通り、多くのスマホユーザーがSNSを利用しています。そしてユーザーの増加に伴い各SNSも機能を追加し、今では購入の接点を導入し始めているのです。



ビジネスでの活用事例



例えば、以下のような大手企業もSNS運用を始めています。



・ヤマト運輸はLINE公式アカウントで効率化



国内の大手宅配企業であるヤマト運輸は、LINEで公式アカウントの運用を始めました。ユーザーは公式アカウントを友達登録することで、LINEのトーク画面から荷物の到着予定時間を知らせてもらえます。そして都合が悪ければ、トーク画面から荷物の受け取り日時を変更したり再配達依頼をしたりできるのです。



上記のSNS運用によって、ヤマト運輸は配達を効率化しました。ユーザーも使い慣れたLINEから配達依頼を行えるため、Win-Winの状態を実現しています。



ヤマト運輸 LINE連携について

https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/campaign/renkei/LINE/


・シャープはTwitterでフレンドリーな投稿が人気となる



日本屈指の大手電機メーカーシャープは、TwitterやFacebook、LINE、Instagramなどで積極的にSNSを運用しています。中でもTwitterは大企業らしからぬフレンドリーな投稿がユーザーに好評で、2021年6月時点で82万超えのフォロワーを持つ人気アカウントとなりました。



Twitter SHARP公式アカウント:https://twitter.com/SHARP_JP



投稿内容はTVCMの公開告知などPRもありますが、運用担当者のランチ画像を公開したりフォロワーに質問するような投稿を行ったりして、消費者と上手くコミュニケーションを取っています。



・スターバックスコーヒーはInstagramで若年層ファンを獲得



日本でも人気が高いスターバックスコーヒーは、InstagramでSNS運用を始めて若年層ファンを獲得しています。“インスタ映え”という言葉が流行ったように、Instagramは写真中心のSNSで若年層ユーザーが多い点が特徴です。スターバックスはその点を考え、オシャレなドリンクやスイーツの画像を投稿しPRを行っています。



スターバックスコーヒーは、24時間で削除されるストーリーズ機能でグッズ販売告知も行っています。さらにこの投稿からECサイトに遷移してグッズを購入できるなど、動線を意識したSNS運用で購入接点を増やしているのです。



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SNSによる購買行動「ULSSAS(ウルサス)」



SNSを介した購買行動には、「ULSSAS」というフレームワークがあるといわれています。SNS時代で起点となるのは、UGCと呼ばれるコンテンツです。UGCとはUser Generated Contentsの略であり、消費者がネット上で作り出すコンテンツを指します。



Amazonなどのモールに投稿した口コミやレシピ投稿サイトに投稿したレシピ、そして消費者がSNSに投稿した画像やテキストもUGCの1つです。UGCを起点として、次のようにULSSASモデルが成り立ちます。



◆ULSSASモデルとは



  • U(UGC):購買行動の起点となる消費者の投稿コンテンツ
  • L(Like):SNS特有の行動で、他人の投稿内容に「いいね」やハートマークを押す行為。Lineが爆発的に増えるといわゆる“バズる”状態となり、消費者の購買行動にも影響を与える
  • S(Search):UGCを見てLikeを押したユーザーは、まずSNSでリアルな口コミを調べる。「#」(ハッシュタグ)でサービスや商品名を入力し、効率的に調査する。
  • S(Search):SNS上でリサーチして購買意欲がさらに高まった消費者は、いよいよGoogle等の検索エンジンで調査を行う。この2回目のSearchで、やっと企業側のオウンドメディアや公式サイトコンテンツを閲覧するユーザーも少なくない。
  • A(Action):商品やサービスを見つけ、購入(行動)する。
  • S(Spread):SNSユーザーは購入した後、価値観が近いユーザーにアピールするためその画像や口コミをSNSにアップロードする。Spreadによって新たなUGCが生まれ、別のユーザーの購買意欲が刺激されることでULSSASモデルの車輪が回っていく。



このULSSASモデルを意識することで、よりビジネスチャンスが大きなものとなります。



企業が抱えるSNS運用の課題



「費用がかからない」「結果がすぐ出る」と思われがちなSNS運用ですが、現場側には以下のような課題があります。



  • 運用リソースの不足
  • 効果が実感できていない
  • コミュニケーションの難しさ



経営側と現場側が課題を共有することで、よりよいSNS運用が行えるようになります。



1、運用リソースの不足



SNS運用では、リソース不足を嘆く現場スタッフが少なくありません。サービスが新しいためノウハウを持つ人が少なく、手探りで始める企業がほとんどです。加えてSNS運用は地道な投稿が必要で、結果がすぐに出るものではありません。数字になかなか反映しないためリソースを割いてもらえず、失敗に終わってしまう企業も多いものです。



調査によると、Instagramを使ったSNS運用では80%の担当者が会社から求められたことに違和感を覚えています。「すぐに売り上げや集客につながる」「コストやリソースをかけずに大きな成果につながる」と誤解され、予算が5万円未満/月程度、運用時間が2時間未満/週という厳しいリソースで運用している担当者も少なくありません。※3



※3 80%のインスタグラム担当者が、現状に「違和感を感じている」と回答。リソースがない、会社が理解してくれない… 252名へのアンケートで見えた現場の実情

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000017171.html


SNS運用は継続的な投稿が必要であり、運用リソースや期間が必要です。適切なリソースを割いて丁寧にSNSアカウントを育てることで、ブランド力や集客力があがり会社の資産となります。つまり経営側は、SNS運用において長い目で見る必要があるのです。



2、効果が実感できていない



SNS運用を行う担当者205人を対象とした調査では、51.9%が「効果を実感していない」と回答しました。※4 SNS運用を始めたものの、半数以上の担当者が効果を感じていないのです。



※4 EC企業のSNS活用、最多はInstagram。課題は「効果の実感がない」「運用人材不足」「ネタ不足」

https://netshop.impress.co.jp/node/8722


しかし30.4%はアクセスや問い合わせの増加・評判レビューの拡散や向上を感じており、決してSNSの効果がないわけではありません。SNS運用は地道な投稿と時間が必要ですから、適切なリソースを使いコツコツと取り組むことで効果を実感できるでしょう。



3、コミュニケーションの難しさ



顧客と直にコミュニケーションを取れるのがSNSの魅力です。しかしそのコミュニケーションについて悩む担当者も少なくありません。数々のマーケティングを行った大企業でさえも、SNSでの炎上によるトラブル事例は数多くあります。



投稿に反応してもらえない・フォロワーがなかなか増えない…という悩みは、多くの担当者が経験します。企業のSNS運用は、方向性を決めたりガイドラインを制定したりといった準備が必要なのです。



企業がSNS運用で目的を達成するために必要なことは、次で詳しく解説します。







SNS運用の目的達成のために



目的がないSNS運用は効果を実感できません。「周りがやってるから」とか「なんとなく」という理由でSNS運用を始めるべきではないのです。目的と共にペルソナも決めて、SNSの目標や方向性を社内で徹底的に話し合う必要があります。



運用目的を明確にする



企業がSNS運用を始めるためにまず必要なことは、運用目的を社内で明確に決めることです。SNS運用の全てを担当者に丸投げしてしまうと、効果が出ない・炎上してしまったというトラブルが起きかねません。



最低でも、SNSを使う目的・ターゲットとするユーザーやアピールしたいもの(社名や製品・サービス名)・メインとして利用するSNSサービスは社内ですり合わせておきたいものです。



企業がSNS運用で設定する主な目的としては「認知向上」が最多で、その次が販売促進となっています。 多くの企業が製品やサービスのPRに躍起になるわけではなく、まずは会社や製品・サービスを知ってもらうという姿勢でSNSを活用しています。



SNS運用における社内ルールを策定する



炎上トラブルを防ぐためにも、SNS運用における社内ルールは作成しておきましょう。最近ではSNS運用における独自ガイドラインを定める企業も少なくありません。例えばSHARP株式会社の場合、ソーシャルメディアにおけるガイドラインを設定して一般公開もしています。※5



※5 シャープ公式Twitterアカウント コミュニティ・ガイドライン

https://corporate.jp.sharp/socialmedia/twgl.html


上記ガイドラインでは、返信や問合せ対応、フォローについて指針を明記しています。このガイドラインがあることで、運営者が複数になっても方針がぶれず属人的になりません。



アウトソーシングでリソース確保



もし社内にリソースが不足しているなら、アウトソースすることも1つの手段です。SNS運用はノウハウとある程度のリソースが必要ですから、足りない状況では担当者がいくら頑張っても効果が出ないケースも珍しくありません。



今ではSNS運用のノウハウを持った外注先も増えています。いずれは内製化を考えている企業も、まずは外注してリソースとノウハウ不足を補うことでより効率的に運営ができるでしょう。