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多角的に変化していくCRMとブランディング


デジタル化やOMOが進んだ今、小売業は顧客との新たな関係づくりが求められています。顧客関係管理を意味するCRM市場は急成長しており、企業も対応していかなくてはいけません。



この記事では、CRM市場の進化やその背景、今求められるCRMの考え方を解説します。



CRM市場が拡大、その背景とは



かつては「ヒト・モノ・カネ」がビジネスの基礎ともいわれており、良い人材・良質な製品(サービス)、事業を回す資金が重視されていました。しかし今では、顧客を中心にビジネスを発展させることこそが重要だという流れに変化しています。



まずはCRM市場の成長と、その背景についてみていきましょう。



CRM市場は2027年までに10兆円規模になる見通し。その背景とは



ある調査では、CMR市場は2027年までに963億ドル、日本円では約10兆円規模になるといわれています。2019年時点では約400億ドル、日本円では約4兆円であることを鑑みると、10年も経たないうちに倍以上の成長を見せているのです。



参照:CRM市場規模、2027年には963億9,000万ドルに到達見込み

https://saleszine.jp/news/detail/2588


CRM市場が急成長を見せる背景には、新規顧客の獲得が難しくなっているという背景があります。



少子高齢化が進む現代では、年々新顧客の開拓が難しくなっています。この状況でビジネスを成長させるためには、既存顧客を大事にし、長く関係を築いていくことが重要です。



そこで重視されるものが顧客との信頼関係となります。各社が顧客一人一人のニーズに応え満足度を高めることで信用を得て、顧客離れを防いでいるのです。



CRMを強化するためにCRMツールを導入する企業も増えています。代表的なツールではSalesforceなどが挙げられますが、国内で開発されたCRMツールもあります。しかしCRMのゴールは顧客関係の強化であり、ツールを導入しただけで解決するものではありません。



求められることは「パーソナライゼーション」



CRMの取り組みの1つとして、パーソナライゼーションが挙げられます。パーソナライゼーションとは、顧客の属性を分析して把握し、顧客に合わせて最適化したものを提供することを指します。



パーソナライゼーションの類義語として「カスタマイズ」があります。しかしカスタマイズは顧客自身が行うことで、パーソナライゼーションと同義語ではありません。



例えばアパレルショップなら、その顧客の事を知り尽くしたベテランスタッフが、顧客の趣味趣向、さらには家族構成や購入履歴まで配慮して商品を提案することがパーソナライゼーションです。



競合がひしめく市場で消費者に選ばれるためには、より顧客と深くつながり、深い感動を与えなければいけません。パーソナライゼーションは顧客の深い感動へとつながり、より価値のある顧客体験を提供できるようになります。



インターネットが発達した現代では、消費者は欲しいものが欲しい時に手に入ることが当たり前となっています。そしてその当たり前は、コロナ禍によってさらに基準が上がってしまいました。



ECサイトでも競合が増えている中で、顧客はより自分を認識してくれるブランドに価値を見出しているのです。



CRMを新しく捉え直す動きが起きている



CRMは顧客関係管理という意味ですが、関係を「管理する」という捉え方を見直す動きが起こっています。国内で顧客関係強化を狙うなら、日本式のCRMともいえる「JCRM」という概念を知っておきましょう。



日本ならではのCRM「JCRM」という概念



製薬会社やITメーカー等多くの企業が会員となっている一般社団法人日本通販CRM協会では、日本式のCRMともいえる「JCRM」という概念を提唱しています。



JCRMは日本特有の「想いやり」や「おもてなし」の精神を中心としたものです。CRMといえば顧客を管理するという側面が強いですが、JCRMはCRMよりももう少し捉え方が広く、顧客との関係を強化する手法といえます。



まず、JCRMでは顧客ではなく「理念」が中心です。この理念を「人材」が体現し、自分たちらしさとなる「独自性」を生み、価値や歴史を積み重ね企業文化となっていきます。



そして理念を中心として、「顧客」「商品サービス」「データ」「PR」「ブランド」と発展します。データはマーケティングや戦略のためだけではなく、顧客の心を知るためにも重要です。またJCRMにおけるPRは単なる売上や宣伝ではなく、企業の文化などを発信して理解を深める意味合いがあります。



出典:一般社団法人日本通販CRM協会 https://japan-crm.org/




国内小売企業が自社のノウハウを活かしたCRMツールを提供



CRMツールといえば海外メーカーが多いですが、今では国内の小売企業が手掛けたCRMツールも提供が始まっています。



中川政七商店は、2021年5月に日本とインドでシステム開発するVeBuIn(ヴィビュイン)と、CRMサービスを展開するシナジーマーケティングの3社で「MONJU(モンジュ)」という合弁会社を設立し、クラウド型ブランドコミュニケーションシステム「Synergy!BCS(シナジービーシーエス)」を共同開発したことを発表しました。



中川政七商店は、享保元年(1716年)に奈良で創業した製造小売業です。手織りの麻織物を中心に日本全国の工芸技術を活かした製品を扱う一方で、ブランドを作るという視点から経営やものづくり・流通やコミュニケーションの設計まで一揆貫通したコンサルティング事業も展開しています。



|あえて“買いたいか?”を軸としない仕組み



Synergy!BCSでは、「プロダクトが好き」「ライフスタイルに合っている」「ブランドビジョンに共感する」の3つの軸でブランド理解度を把握します。顧客の理解や支持向上を目的に、オンラインとオフラインの垣根をなくし、あらゆるタッチポイントで整合性のあるコミュニケーションを取るよう設計されています。



例えば導入後は自社サイトのアクセスデータや電子商取引、店舗の購買データやイベント参加履歴などオフライン・オンラインを超えたあらゆるデータを収集します。そのデータを基に顧客行動を分析し、顧客へのアプローチ方法を出し分けることが可能です。



Synergy!BCSはCRMにありがちな購入意欲を軸にせず、ブランドに対する理解度でシナリオを設計します。そして理解度に合わせて顧客に不足するコンテンツを配信することで、購入意欲ではなく理解度を上げていく点が大きな特徴です。



中川政七商店の生活雑貨部門は、かつて売り上げが立たずお荷物部署のような存在でした。しかしそこからブランディングによって立て直した背景があり、Synergy!BCSでもそのノウハウが多く取り入れられています。



https://synergy-bcs.jp/




ポイントカード運用も変わっていく



現在も多くの小売店で導入されている「ポイントカード戦略」は、顧客の囲い込みとして有効な手段とされてきました。実際にアプリを含むポイントカードの発行は激化しており、発行しない店舗のほうが珍しいほどです。



しかしポイントカードで顧客を囲い込むと、売り場の面白みが欠け、大きく発展しないという意見もあります。



洗練さや面白みがない売り場は一応売り上げがあるものの、商品などに感度が高い情報先端型の顧客は魅力を感じません。その結果「あのお店は良いよ」と勧められず、新規顧客が獲得しにくいのです。



CRMでは既存顧客との関係強化が重視されますが、成長戦略を考えるとやはり新規顧客の獲得や店舗の進化も無視できません。



ブランクなく頻繁に買ってくれる顧客を“優良顧客”と位置づけ、ポイントカードはその優良顧客を獲得するために発行します。しかし頻繁にたくさん購入してくれる顧客以外にも、前述のように人にお勧めしてくれる情報先端型の顧客も獲得しなければいけません。



CRMが進みさまざまな顧客との関係づくりが求められる今、店舗の在り方も進化が必要なのです。



ブランディングとマーケティングがより重要になる



スマートフォンやSNSの浸透により、リテールの在り方も大きく変わり始めています。これからの時代は、他業種と同じように、オンラインとオフラインを融合したデジタルマーケティングが欠かせません。



ECはもはやチャネルの1つという位置づけではなく、1つのプラットフォームへと変化を始めています。企業全体のブランディングやマーケティング強化に向け、顧客との接点づくりや顧客行動の把握、ニーズの分析といった役割が、ECに求められているのです。



2010年代は、システム化やECサイトのカスタマイズが重視されていました。そして2020年以降はOMOがさらに浸透することで、オンラインシフトやデジタル化の促進が求められるでしょう。オンラインとオフラインを融合して顧客行動を包括的に捉えることで、より顧客に寄り添った戦略が必要となります。



コロナで生活様式が急激に変化し、“消費”そのものの定義が変わりつつあります。企業はオンラインとオフラインの融合によって新たな価値を伝え、顧客に満足してもらえるコミュニケーションや顧客関係の構築に舵を切った戦略が求められているのです。