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2026年世界のEC市場規模は7.62兆USドルに!越境ECは中国に続き東南アジアも拡大傾向続く


越境ECはコロナ禍で注目を集め、2024年も高い関心が続いています。



国内の企業の半数以上が海外売上の増加を見込んでいて、短尺動画を活用したソーシャルコマースが好調な中国とともに、東南アジアの国でも越境ECへの土壌が整いつつあります。



文化の異なる国で商品を売るには、商品のトレンドを把握し、関税などの情報を顧客に明示することが求められます。



関税対策や商品選定は依然として重要ではありますが、物流や言語の壁は克服されてきて、越境ECに対するハードルは低くなったと言えるでしょう。



本稿では、越境ECについて最新の世界動向をデータとあわせてチェックすると共に、新しく越境ECに参画するために必要な考え方や対策を改めて紹介しています。



越境ECへの意欲は増加



越境ECは、コロナで世界の価値観が大きく変化した2023年頃から、「始め時」とされてきました。



2024年も越境ECへの意欲は高い傾向が続いています。



越境ECが注目されるようになった背景には、スマホ利用の拡大、EC化率の上昇とECに伴うコスト削減の実現、インバウンド需要といった理由があります。



日本を訪れた海外の旅行者が、日本製品の良さに気づき、帰国してからもリピート購入を積極的に行うという流れも、インバウンドの需要から派生する大きな流れとなっています。



また、越境ECには少子高齢化が加速する日本だけでなく、世界へと視点を広げて商圏拡大を目指すべきという切実な計画もあります。



日本の人口が減少し続ける今、国内市場は小さくなる一方です。



しかし、商圏を世界へと拡大すれば、一気に市場を大きく広げられる可能性が生まれます。



海外売上増加を見込む企業は5割以上



越境ECに前向きな企業が多いことは、データにもすでに現れています。



日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施したアンケートでは、「2024年度の海外売上高について、前年比で『増加』を見込む企業」の割合が55.7%に達しています。



また、医薬品や化粧品、化学、飲食料品、精密機器を扱う企業では、6割以上が増加を見込むという回答が得られています。



海外向け販売としてECの活用をすると回答した企業も、全体の53.6%と5割を超える結果になりました。



ECの売上は、前年比より増加、あるいは横ばいと回答した企業が9割以上に及び、減少と回答した企業は11.1%にとどまっています。



なお、地政学的なリスクや、インフレへの懸念から、全体的な輸出量は前年度からほぼ横ばいと回答する企業が多数ですが、製造業では輸出の量を増加する傾向にあります。



市場規模と今後の成長期待度



従来は、越境ECといえば中国や米国が主な市場でした。



経済産業省が2023年にまとめた「令和4年度の電子商取引に関する市場調査報告書」によれば、2022年の世界のBtoC-ECの市場規模は、5.44兆USドルです。



中国と米国に加えて、東南アジア主要6ヶ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)のEC市場が今後伸びていくため、2026年には、世界のEC市場規模は、7.62兆USドルにまで成長すると予想されています。



ドイツの国際物流を担う大手企業は、こうした東南アジアの需要を見越して、香港の物流ハブを拡張、アジアに配送網を張り巡らしました。これによって、越境ECで扱う商品は、配送にかかる時間が短くなっただけでなく、日時指定が可能になるなどサービスの質が向上しつつあります。



現在、このEC市場シェアの半数を占めているのは中国です。中国のシェアは50.4%、次点の米国は18.4%なので、倍以上の差が開いていることになります。



中国の市場は、非常に安価な価格設定が売りのECサイトが急進していて、海外にもその販路を拡大しています。製造から販売までのプロセスを徹底的に効率化することで実現した価格設定は、世界経済にも大きな影響を及ぼし始めています。



なお、日本のEC市場シェアは、中国、米国、英国(4.5%)に次ぐ4番目で、3.1%を占めています。



越境ECの市場規模も、世界のEC規模と同様に伸長が見込まれています。



2021年の越境ECの市場規模は7.850億USドルで、2030年には7兆9.380億USドルにまで拡大すると予測されています。



出典:経済産業省「令和4年度の電子商取引に関する市場調査報告書」




越境ECのハードルは低くなったのか



越境ECにはこれまで、スピーディな物流を実現するシステムの整備、言語や文化の壁がありました。



しかし、その壁は乗り越えることが可能になり、参入障壁は以前よりも低くなっています。



特に、言語の壁については、AIの力を借りることによって、スムーズなショッピング体験の提供が容易になっています。



中国では、すでに短尺動画を投稿・閲覧できるプラットフォームに日本企業が参入し、ソーシャルコマースを成功させています。



中国はEC化率が44%で、外部サイトに遷移することなくその場で商品を購入できるソーシャルコマースのプラットフォームには、何億人ものユーザーがいます。



プラットフォームは、ユーザーの好みに合った動画コンテンツを表示させるアルゴリズムによって稼働しているので、ユーザーの潜在ニーズをダイレクトに狙い撃ちできれば大きな売上につなげることができるでしょう。



とはいえ、輸出入を行うには関税についての対策が必須になるため、準備やサポートなくいきなり越境ECを始めるのは得策とは言えません。



さらに、越境ECで売れるものには流行があるため、購買の傾向を先読みしてECサイトを準備していく必要もあります。



越境ECのハードルは低くなっても、ハードルそのものをスキップする(避ける)ことはできないと捉えると分かりやすいかもしれません。



物流、言語、文化の壁



以前、越境ECに参入するためには、物流、言語、文化という「3つの壁」を越えなければならないとされてきました。



しかし、配送のソリューションによって物流は進化し、日本〜米国を1日で届けられるようなシステムが登場、「国内注文より早く届く」と言わしめるほどのスピードが実現しています。



海外からフェリーなどで荷物を送る場合、スピーディな通関と保税業務を行うためには、送り状と荷物の称号、税関に申告するためのデータ取得、税額の計算といったさまざまなプロセスを経る必要があります。



これらのプロセスを同一システム内で管理し、税額の自動計算フローを組み込むことで、配送業務をスピーディに進めることができるようになります。



すでに今年の1月からはこの自動化システムが本格稼働しており、韓国からは最短4日、中国からは最短5日で日本国内に荷物が届くようになっています。



さらに、言語の問題についてはAI翻訳機や、ChatGPTをはじめとした生成AIの活用によって、リアルタイムでの翻訳が可能になるなど、格段に利便性が向上しています。



最後の一つである文化の壁は、各国における商習慣の違いなどですが、これもカスタマーサービスに生成AIを導入するといった改革によって乗り越えることが可能になりつつあります。



関税対策は必須



輸出・輸入のプロセスがスムーズになっても、引き続き対策必須なのが関税です。



関税は国ごとに法律や協定が定められ、税額が異なっているため、輸出入を行うためには各国の税制と法を熟知しておく必要があります。



例えば、中国の関税は「行郵税」、「越境EC総合税」の2つに大別されています。



この税はさらに5つに細分化していて、協定を締結している国とそうでない国などで適用される税の名称や税額が変わってきます。



米国の関税システムは、「一般税率」、「特別税率」、「法定税率」の3種類で運用されています。日本を含めたほとんどの国には一般税率が適用されますが、開発途上国やFTA(自由貿易協定)を締結している国に対しては別の税率が課されます。



さらに、シンガポールのように、「一般課税」は原則として無税でも、シンガポール国内で消費される製品に適用される「物品税」が適用されるというルールが制定されている国もあります。



これらの税制は、法改正で変わる可能性が高いため、一度調べて安心するのではなく、常に情報のアップデートを心がけることも重要です。



また、消費者に対しては購入時に関税がかかることを明示することも必要です。



購入価格に関税が含まれていないと、消費者は予想外の追加費用を支払うことになってしまいます。



関税がどれくらいかかるのかを不安に感じる消費者が購入をとり止めないよう、関税の見積もりフォームなどを整備しておくと良いかもしれません。



これらの情報を分かりやすく表示することで、顧客満足度を上げることができます。



なお、越境ECで関税対策を行うためには、「HSコード」が必要になります。



HSコードとは、関税分類番号のことで、「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」によって世界共通で定められているものです。



商品ジャンルの選定



越境ECで成功するためには、売れる商品を選ぶことが重要です。



made in Japanはそれだけで海外から価値ある商品として認められやすい傾向にありますが、越境ECにも売れやすいトレンドのものとそうでないものがあるので、しっかりと把握しておく必要があります。



2023年に越境ECで人気だったのは、レディースのアパレル商品、ブランド商品です。



新品の商品だけでなく、日本人が使った中古品は品質が良いとして中古ブランドバッグや高級時計も大幅な伸長を見せています。



次に人気があったのは、時計やアクセサリー、その次にアニメ、キャラクターグッズと続きました。



デジカメや自動車のパーツ、2021年頃に一大ムーブメントを引き起こしたトレーディングカードも、人気が再燃しています。



2024年は、インバウンドで日本の文化にふれる人が増えたことから、日本のアンティークや、侍など日本独自の文化を感じられるカテゴリーが人気になると予測されています。



また、浄水器のフィルターなど品質がよく、日本国内でしか購入できない消耗品も、引き続き需要が高いと考えられています。



越境ECを成功させるために



越境ECは、成功すれば一気に全世界へと商圏を広げられるため、大きな可能性をはらんでいます。



インバウンドの観光客が増加している今は、日本の製品や文化を世界に向けてアピールしやすいタイミングと言えるでしょう。



この波をキャッチして、新しい商圏、カスタマーを獲得しに動いてみるのが良さそうです。





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