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クラウドコンピューティングにおけるリージョンの必要性

クラウドコンピューティングはIT業務には欠かせない存在となりつつありますが、クラウドの普及と同時に必要になってきているのがその環境を支えるクラウド周りの取り扱いの方法や、クラウドの運営側にトラブルが起きてしまった際の対処です。

もし自分がクラウドに管理を任せていたデータやアプリケーションに不具合が生じた場合、クラウドサービスの取り扱い方のみを心得ているだけでは不十分なケースも現れるものです。

今回はリージョンというキーワードに注目して、クラウドがどのように管理されているのか、そしてトラブルが生じた際にリージョンはどのような役割を果たすのかをご紹介していきます。

  • 特定のサーバーに一元化されるクラウドサービス
  • リージョンはサーバーの物理的な被害からデータを守る役割を果たす
  • 自然災害の多い日本では特にBCP対策は重要

クラウドサービスの仕組み

クラウドサービスは、特定のサーバーからインターネット経由で提供されているサービスを、自分のパソコンやスマートフォンで利用できるサービスのことを指しています。空というインターネットに浮かんでいるクラウド(雲)からサービスを利用できることからこの名前がつき、こういったコンピューターの利用方法をクラウドコンピューティングと呼んでいます。

従来のソフトウェアとの違い

従来のアプリケーションはソフトウェア形式で端末一つ一つにコンテンツをインストールする必要がありましたが、インターネットを介して、サービスを提供することで、ソフトをいちいち購入せずともインターネット経由でライセンスを取得してもらい、そのままサービスを利用してもらうことができるようになった点がクラウドサービスの大きな特徴と言えます。

サービスにも様々な種類があり、dropboxのようなストレージ機能に特化したものから、googleドキュメントのような従来のwordやエクセルの機能をクラウド上で取り扱えるようにしたものなど、多様です。

クラウドサービスの特徴

従来のアプリケーションに比べてクラウドサービスが特徴的であると言えるのは、サービスの内容は提供者の都合でリアルタイムに変更されるという点です。

サービス提供者に依存するクラウドサービス

これまでのソフトウェア形式であれば、一度自分のコンピューターにインストールしてしまえば定期的なアップデートの案内は来るものの、それをするかしないかはソフトの持ち主の裁量次第でいくらでもさじ加減がききました。しかし、クラウドの提供しているサービスは一つのサーバーで一元的に管理を行なっているため、管理者がサービスに変更を加えれば、すべてのクラウドサービス利用者に変更が強制的に適用されることになります。

これをメリットととるかデメリットととるかは人によって異なりますが、ともかくこちらの否応無しにサーバー管理者に変更する権利が一方的にあることは、従来のソフトウェア形式に比べて大きく異なる点であることは注目すべき点です。

複数人で同じデータを取り扱えるのがポイント

そしてもう一つクラウドサービスの特徴として挙げられるのが、多人数で一つのデータを取り扱える点です。これまでは一度作成したデータはPCに保存するかUSBなどの記録媒体にデータを移し、自分で中身を管理する必要があり、他の人にデータを共有したい場合はメールでデータを送ったり、USBメモリを直接データを渡したい人に手渡しすることが欠かせませんでした。

しかしながらクラウドの登場により、これまでのユーザーによるデータの送受信の必要性も大きく低下することになりました。クラウドサービス利用者はあくまでもインターネット経由で特定のサーバーから提供されているサービスを利用しているだけであって、データの管理もそのサービス運営者が行っていることになるため、わざわざデータをユーザー同士がやり取りしなくとも、そのサービス上で済ませてしまえば事足りるからです。

データの管理はこれまで細心の注意を払って個人の責任で行うものだったのが、クラウドの登場によってその責任やタスクからも解放されたということができるでしょう。

そしてリージョンの存在はこういった一元的なサーバー管理のリスクを極力控える上で重要な役割を果たしているのです。

リージョンの役割について

リージョンは日本語に直訳すると「地域」という意味になりますが、その名の通りリージョンは物理的な地域ごとに分かれ、かつ完全に独立した形で管理されているクラウドのサーバー管理形式のことを指しています。

互いに干渉しないサーバー管理

各リージョンに分けられたサーバーはそれぞれで同じサービスを提供しながらも、お互いに干渉し合うことはなく、トラブルが起こった際にはリージョンごとに対処されます。運営側としてはそれぞれのリージョンが一斉にシステムダウンしない限りはサービスの提供が滞る心配もないため、サーバーを複数管理したりグローバル展開を考えている場合は海外にも複数のリージョンを持つことも珍しくありません。

一方の利用者も使用するサーバーを複数のリージョンに分けておけば、もしもメインで使っているサーバーに何らかの障害が発生して使えなくなったとしても、サブのサーバーで作業を行うことができるので安心です。事業継続計画、いわゆるBCP対策としての側面を持つのが、このリージョンごとに分けられた管理方法なのです。

このリージョンの中でさらに独立した働きを持つのが「ゾーン」の存在です。ゾーンは特リージョンにおけるリージョンという役割を持っており、同じリージョン内でさらにトラブルが生じた際にその干渉を受けないよう、小分けされたシステム群として取り扱われます。一つのリージョンに複数のゾーンを備えておくことでリスクを分散させ、さらにリージョンという物理的な分散によりリスクを細分化しているのです。

一元的なサーバー管理によって運営されているクラウドサービスは、このように物理的なリスク管理を行うことで、サービス利用者の被害を最低限に抑えられるよう、取り組まれています。


BCP対策として注目の集まるリージョン

サーバーを管理する上で恐ろしいのはサイバー犯罪も確かにそうなのですが、もう一つ脅威となるのが自然災害や火事・爆発などから引き起こされるサーバーの物理的なダメージと消滅です。どれだけサイバーセキュリティは堅牢であっても、サーバー本体が損傷を受けてしまってはセキュリティもあったものではありません。一見するとアナログで原始的なように思えるリージョンのようなサーバー管理方法も、物理的なリスクが絶え間なく私たちの生活を脅かしている以上は欠かせないリスクマネジメントであり続けます。

BCP対策は自然災害の多い日本では重要な指針であり、いかにして重要業務を万が一の事態に陥っても継続させるのかは個人レベル・企業レベルで取り組まなければならない課題です。リージョンのような分散化の取り組みはBCP対策の中でも最もポピュラーな方法で、クラウドサービスのみならず多くのIT企業やセキュリティ企業が取り組んでいる施策です。

クラウドサービス提供者がそのような分散化が可能な手段も提供してくれている以上、サービス利用者もそれを活かさないわけにはいきません。運営側も何重に分散化やバックアップは取ってくれていることだとは思いますが、それでも重要なデータが消えてしまってからでは遅いのです。使えるものはフル活用して、少しでも不測の事態に備えられるよう今からでも対策を練っておくことは非常に大切になってきているのです。

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