今さら聞けないPaaSとは?IaaS、SaaS、DaaSとの違いを説明します
「PaaSってよく聞くけど、結局なんなんだろう…IaaSとかSaaSとかDaaSと何が違うの?」
と思っている方。
PaaSはインフラと開発環境がセットで用意されているサービスで、すぐに開発ができてコストもかかりません。
とはいえ、IaaS、SaaSなど似ているものが多くてわかりにくいですよね。
そこで、この記事では
- そもそもクラウドとは
- PaaSとは何なのか
- PaaSとIaaS/SaaS/DaaSとの違い
の順にPaaSのざっくりとした概要をお伝えします。
一見ややこしく思えますが、PaaSの概要だけならシンプルです。まずはこの記事でざっくりと押さえていきましょう!
そもそもPaaSとはクラウドサービスの1つ
PaaSはクラウドサービスの一つです。なので、まずはそもそもクラウドとは何かからご説明しますね。
カンタンに言ってしまえば、クラウドとはインターネットにつながっている状態で利用するタイプのサービスです。
ふだんの生活で使うことも多い
はクラウドの一種ですね。かつ、システム開発で使うような
もクラウドなのです。
ゆえに、これらをひとまとめにしているクラウドは「インターネットを通して使うサービス」というざっくりとした意味になってしまいます。
そのため、クラウドの利用タイプによって
- PaaS
- IaaS
- SaaS
- DaaS
という分類があるのです。
その市場規模は2015年に1260億円(IaaS/PaaS、株式会社矢野経済研究所)で、2014年から比較して39.1%増加しています。
また、世界的にみたシェアでは、「IaaSとPaaSを合わせたクラウド市場の売り上げ1位はAWSである」という調査結果を、米調査会社が発表しています。同調査によると、アジア・太平洋地域以外は2位はMicrosoft、3位はGoogleという結果になっています。アジア・太平洋地域はAlibabaが2位となっており、全世界のシェアでも4位につけています。
参考:https://www.sbbit.jp/article/cont1/35238
クラウドは意味が幅広く、PaaSをはじめとした利用タイプごとに見ていく必要があるとおわかりいただけたかと思います。
クラウドのメリットを詳しく知りたいかたは「クラウドはECサイトにどんなメリットをもたらすか」をご一読ください!
それでは以下で、PaaSを詳しく紹介しますね。
PaaSとは「すぐに開発を始めることができるサービス」
PaaSとは”Platform as a Service”の略で、読み方は「パース」です。主に、PaaSは企業でのサービス開発に利用されます。
PaaSは「サービスとしてのプラットフォーム」という意味で、開発に必要な
- ネットワークなどのインフラ
- OSなどのプラットフォーム
をインターネット上で使用できます。必要な環境がすでに揃っているので、プログラムを作ることに集中できるのは大きなメリットです。
お店で例えるならすでに電気・水道などのインフラがそろった、ショッピングセンターのテナントですね。
以前はセキュリティの問題もありましたが、サービス提供元の対策やユーザー側の意識アップにより改善しつつあります。
また2017年現在、具体的なPaaS提供サービスは
などです。Python/Java/Go/PHP/Node.JS/Ruby on Railsなどのプログラミング言語が使われます。
また、価格は従量課金制であることが多く、使った分だけ料金を支払う形がほとんどです。
PaaSとIaaS/SaaS/DaaSとの違い
PaaSと並んで話されることも多い「IaaS/SaaS/DaaS」の3つ。
カンタンに言ってしまえば、PaaS/IaaS/SaaS/DaaSの違いは「どこまでをクラウドとして用意するか」です。
ここからは、IaaS/SaaS/DaaSそれぞれの特徴とメリット・デメリットをお伝えします。それぞれの違いをここで理解してしまいましょう!
IaaS
”Infrastructure as a Service”つまり「サービスとしてのインフラ」と訳されるIaaS。読み方は「イァース」「アイアース」です。
IaaSでは
- 仮想サーバ
- ハードディスク
- ファイアーウォール
などのインフラを提供します。PaaSと違って最低限の環境しか提供されないので
- メリット:アプリ・プラットフォームをかなり自由に開発できる
- デメリット:開発には専門的なスキルが必要
という2点が特徴です。例えるなら「土地だけを借りてお店を作る方法」ですね。
具体的には
- Google Compute Engine
- Amazon Elastic Compute Cloud
- Xサーバーなどのレンタルサーバー
などのサービスがあり、無料CMSのWordPressを利用するために使われることもあります。
また、VPSとの違いは
- IaaS:料金は使った分だけで、柔軟にリソースの量を変えられる
- VPS:料金は一定で、リソースを変えるためには契約を変えなければならない
というポイントです。
SaaS
普段からよく使う方も多い
- Gmail、Yahoo!メール
- Google Photo
- 無料ブログサービス
などはSaaSです。”Software as a Service”の略で「サース」と呼ばれます。
メリット・デメリットは以下の通りです。
- メリット:全てのサービスがウェブ上で使えるので、開発のスキルや手間なく使える
- デメリット:すでに用意してあるサービスなので、自由度は低い
お店で例えるなら、以前のお店が残した設備がある居抜きのようなものです。スピーディにサービスを利用したいときには便利ですが、カスタマイズをしたいなら自由度は低く感じるでしょう。
DaaS
”Desktop as a Service”つまり「サービスとしてのデスクトップ」と呼ばれるDaaS。
その名の通り、パソコンのデスクトップ環境をクラウドでつくって、インターネットを通じて利用するサービスです。全てのソフト・データがクラウド上にある状態ですね。
DaaSの特徴は
- メリット:ユーザーに応じたデスクトップ環境が、スピーディかつ低コストで利用できる
- デメリット:アプリとの互換性がなかったり、大容量データの転送は遅くなったりする
です。現在使っているデスクトップ環境がクラウド上で使えるのはDaaSの利点ですが、同じ使用感で使えるのかはしっかり検討すべきでしょう。
DaaSサービスの例としては
があります。
PaaSでECサイトをスピーディにカスタマイズしよう
PaaSについて、特徴や他のタイプとの比較を紹介しました。
一覧でおさらいすると、
【PaaS】
- メリット:必要な環境がすでに揃っているので、プログラムを作ることに集中できる
- デメリット:環境をカスタマイズするのは難しい
【IaaS】
- メリット:アプリ・プラットフォームをかなり自由に開発できる
- デメリット:開発には専門的なスキルが必要
【SaaS】
- メリット:全てのサービスがウェブ上で使えるので、開発のスキルや手間なく使える
- デメリット:すでに用意してあるサービスなので、自由度は低い
【DaaS】
- メリット:全てのサービスがウェブ上で使えるので、開発のスキルや手間なく使える
- デメリット:すでに用意してあるサービスなので、自由度は低い
というそれぞれの特徴をお伝えしました。
カスタマイズの自由度でいえば、PaaSはSaaSとIaaSの中間です。
「インフラからしっかり開発するほどコストをかけたくないが、開発の自由度はある程度ほしい!」
というときにPaaSは強い味方になってくれるでしょう。
まずは、自社がどれくらいの自由度でカスタマイズしたいのかを考えるところからはじめてみてください。
「クラウドって難しい用語が多くて、どれが自社のECサイトにいいのかわからない…」
というかたは「ASPとSaaSは違う!PaaS、IaaS…クラウドに関連するキーワードを一気に解説!」も参考にしてみてくださいね。
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この記事を書いた人
佐々木 ゴウ
大手Sierや、ECコンサルティング会社での経験を活かし、ファッションや食品などの各種商品ジャンルから、バックオフィス、ITインフラ系まで幅広く執筆が可能。webライティングの講師や、メディアコンサルティング、採用系メディアの編集長なども請け負っている。趣味は盆栽。