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オムニチャネルの「その先」へ行くなら、ECとPOSのことは忘れてください

「オムニチャネル」という言葉が、小売業界を中心に世間に溢れ始めたのが2015年あたり。言葉だけを捕まえれば耳にしすぎて今更感さえ漂いますが、もしかしたら、あなたが思い描いている「そのオムニチャネル」では、強い事業は構築できないかも知れません。

「アフターデジタル」と言われるこれからの時代を見据えた時に、小売企業が持つべきマインドセットとは。エスキュービズムのDXコンサルタントがシステム構築の観点から語ります。
目次:

大切なのは、ウェブとリアルをシームレスに繋げるか

DXコンサルタント 清水秀大です。
今、この記事を読んでいただいている方にとって、オムニチャネルの定義とは一体どんなものでしょうか。多くの方にとって、それは「ウェブ販売とリアル販売の融合」という話になっているのではないかと思います。システム的には「EC+POS=オムニチャネル」という概念が固まっている状態とも言えます。

もちろん、多くの小売業の事業形態において、ECとPOSはオムニチャネルを実現するにあたり必要不可欠なシステムですし、弊社もそこに特化した「ORANGE OMNI」(「EC-ORANGE」や「ORANGE POS」)というパッケージ製品を持っています。

しかし、それらはあくまで「顧客にとってのタッチポイントの一つ」である、という考え方をしなくては、強い事業を作ることはできません。「アフターデジタル」と呼ばれるこれからの時代、顧客との接点を作るのは、もはやECやPOS(だけ)である必要はありません。逆に言うと、これからの小売業に求められるのは、単にモノを売るだけではない体験価値の提供になってきますから、「購買」以外の顧客接点をもっと柔軟に生み出していく必要があるのです。

ウェブとリアルをどうシームレスに繋げるか

では、どうすればいいのか。概念として大切なのは、「ウェブとリアルをどうシームレスに繋げるか」ということになってきます。

システム的には、フロントエンドの仕組みとバックエンドの仕組みを分けた上で、フロント側でいかにたくさんのタッチポイントを作れるかが鍵です。
例えばHTMLで接点になるもの。店舗なら、POSではなく、タブレットを用いたアプリで。ビーコンでお客様情報を取る。サイネージやプロジェクターでも接点を作るという方法もあります。それら様々なデバイスやIoTを駆使したタッチポイントから人とモノの情報を引っ張ってきて巨大なデータベースに貯めて一元管理する、という考え方が必要なのです。

■特集:ECから考えるオムニチャネル・OMO■

「EC+POS=オムニチャネル」は最低限でしかない

ECとPOSのデータ統合は、会員情報と購買履歴を一元化し、在庫情報の最適化が目的となります。これらが販売時にもたらす影響は少なくありませんし、独自の発展によってこれまで交わることのなかったECとPOSを融合させることは、事業が巨大であるほど莫大なコストと時間がひつようとなります。エスキュービズムでは、2011年頃からオムニチャネルを提唱し事業を支援して参りました。

しかし今、このオムニチャネルはあくまでも『最低限のベース施策』であり、それをどうやって発展させるかが、事業にとって鍵となることを、クライアント企業様にはお伝えしています。

業務を分解して考えてみる

この考え方は、業務を分解していくと腹落ちしやすいかも知れません。

例えばアパレル企業であれば、これまでリアル店舗で取得していたのはPOSを使って得られる「購買時点」の情報のみです。でも、店に顧客が来店した瞬間に取得したい情報、接客中に取得したい情報、退店時に取得したい情報など、それぞれ違うわけです。

ウェブもウェブで、なぜその商品を選択したのか、どうやってそのサイトにやって来たのか、なぜ店舗ではなくウェブで買うのか、など色んな情報が欲しいはずです(ウェブの場合は多分にデジタルマーケティング的な話になりますが)。

これらの情報の価値は、それがウェブ経由でもリアル経由でも違いはありません。なぜなら、今時の消費者はもはやウェブとリアルの境界線など意識せず、双方を自由に行き来するのが当たり前となりつつあるからです。したがって、そこを完全にシームレスに扱えるよう状態にしておかなくてはいけませんし、それらの情報をどう収集していくかという発想は、もはやECやPOSありきという概念を完全に取り払わないと生まれてきません。

最近ではOMO(Online Merges with Offline)などという言葉もありますが、これからの小売業は、まさにその世界観を持って事業とシステムを構築していくことが求められていくのです。

オムニチャネルの「その先」のために、エスキュービズムが出した答え

実は、弊社にはそのようなOMOの概念を具現化し、もっと自由な発想で事業を構築するためのシステム、「REBLITZ(リブリッツ)」という製品があります。

前項でも述べた通り、ECやPOSという既成のタッチポイントに囚われていてはOMOは実現できないのと同様に、システムにおいても「EC+POSありき」のパッケージ(弊社の製品で言えばORANGE OMNI)でその世界を目指すことはもはや不可能である、というのが私たちの一つの結論であり、オムニチャネルの「その先」を見据えた時に重要な要素を盛り込んで生まれてきたのが、REBLITZなのです。

もちろん、これはORANGE OMNIが用済みになったということではありません。事業のフェーズとしてEC+POSがシステムとして必要不可欠となってくる企業も依然としてたくさんあります。これは、どちらが正しいというものではなく、企業や事業の規模、そして実現したいことと照らし合わせる選択肢だとお考えください。

あえてわかりやすく言うならば、「旧来型のオムニチャネル(EC+POS)」ならORANGE OMNI、OMOをやるならREBLITZ、と考えるとイメージしやすいかも知れません。


「機能×発想力」こそ、REBLITZが提供できる価値

REBLITZというシステムの最大の特徴は、「サブスクリプションモデル×マイクロサービス」であることです。パッケージ製品ではないので月々の支払いは発生しますが、最新かつ最先端な機能が、保守やセキュリティ部分も含めて常にアップデートされ、契約されたお客様に対して開放される状態になります。

マイクロサービスについて、ここでは詳しい解説は割愛しますが、言えることとしては、ユーザー企業はREBLITZが持つ網羅性の高い機能群を自由に取捨選択できる、ということと、そしてそれぞれの機能単位で成長していくシステムである、ということです。


実のところ、マイクロサービス的な要素を持ったシステムは他社製品にも存在します。しかし、OMOという世界の実現を見据えた時、ハイスペックな武器(マイクロサービス)を最大限活かすためには、その世界の構築に必要な全ての領域におけるアイデアや発想力が必要不可欠です。

例えばウェブやリアル店舗、基幹システムや業務システム、物流など、大規模なプロジェクトになればなるほど、グランドデザインの絵は大きくなり、考慮すべきポイントは多岐に渡ります。しかも、フロントエンドでは、同じ目的・コンセプトに基づきつつも各タッチポイントごとに全く異なるアウトプットが必要になってくる難しさもあります。

実は、弊社の強みはそれら全ての領域にまたがる知識と経験値を持ち合わせているところにあります。さらに、あらゆる業種、業態のシステムを構築してきた実績も豊富なため、専門性の深さは維持したまま、話を受けられる面積が広いのが特徴となっています。

つまり、システムの機能自体×発想力こそREBLITZが提供できる価値であり、OMOを実現しようとする際に、弊社が力になれるポイントとも言えると思います。

ユニファイドコマースやニューリテールの実現を可能に

最近、オムニチャネルの先の概念として「ユニファイドコマース」の重要性が提唱されています。海外ではAmazon Goやフーマーフレッシュなど、「ニューリテール」と呼ばれる業態が次々と生まれています。そして、ユニファイドコマースを実現したり、ニューリテールをニューリテールたらしめているのはテクノロジーとデータの活用です。

それらに共通しているのは、高度なテクノロジーを駆使しているけれども、決してサービスに体温がない訳ではなく、むしろ接客の質を高めるなど人間のコミュニケーションを進化させるために、テクノロジーが存在していることです。それは、各タッチポイントで取得するデータなしにはなし得ないことでもあります。

REBLITZこそ、そのような世界観の構築を具現化できるシステムです。

カメラによる顔認証、スマートスピーカーによる音声認証、これからますます発達するであろうあらゆるIoTから取得できる行動データ、ビーコンやジオフェンスで取得する位置情報データ、ウェブ上の行動観察データ、AIを駆使したそれらのデータ解析……そういったものの中心にREBLITZを据えることで、世の中のあらゆるタッチポイントを無制限に取り込み、そこからデータを吸い上げて一元管理し、PDCAを回す。そしてその結果をサービスの改善や新サービスの開発に素早く反映していくことができるのです。

さいごに

いつの間にか完全にREBLITZのアピールとなりましたが、ともかく、これからの時代に消費者から選ばれる企業、ブランドとなっていくためには、OMOを意識したサービスの構築が必要なのです。そして、それは旧来型の「EC+POS」というシステムだけではもはや追いつかない領域にある、ということだけは念頭に置いていただければと思います。


この記事を書いた人
清水秀大 株式会社エスキュービズム DXコンサルティング部 シニアコンサルタント
銀行・証券・保険を中心としたのシステム営業を10年勤めた後、満を辞して小売業界へ。年間200社以上の企業と商談を重ねるITコンサルのエキスパート。セールスという立場でありながら、クライアントから要件定義へのアサインをリクエストされることもしばしば。趣味はゴルフと長距離ドライブ(沖縄以外の46都道府県を走破)。

■DXコンサルタント 清水秀大 の執筆記事