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AWSでECサイトを構築する際の懸念点は今~ITコンサルのエキスパートが語る~

オンプレか、クラウドか。
ECサイトを構築する際のインフラ環境は、少し前まで悩ましいポイントの一つでした。

しかし、クラウドサーバ、特にAWSが圧倒的な主流となって数年あまり。今、ECサイト構築(ないしはリプレース)を検討している企業では「会社のシステムが全てAWSに乗っているのだけれど、ECサイトも同様にAWSで構築してもいいものだろうか」と悩んでいる情シス担当者の方も多いのではないでしょうか?

現在の潮流を踏まえ、ITコンサルタント営業の視点からITインフラの実状をお伝えしたいと思います。
目次:

数年前までの定説「大規模=オンプレミス、中小規模=クラウド」

DXコンサルタント 清水秀大です。
数年前まで、ECサイト構築と言えば、「大規模ECであればオンプレミス(以下オンプレ)、中小規模であればクラウド」というのが定説でした。その定説は、主に費用対効果の面とカスタマイズ性、セキュリティの面が根拠となっていたのですが、現在はだいぶ状況が変わってきています。


まずコストの面についてですが、かつては大規模サイトだとトラフィック量が大きいため、クラウドだと割高になってしまうと言われていました。また、規模が大きな企業だと、様々なシステムと連携しているため、カスタマイズ性という意味でもオンプレを選択する方が自然だった、という事情もあります。

しかし、今やクラウド化が圧倒的主流となり、規模の大きな企業がどんどんAWS(※)を導入しています。これに伴って、弊社に届くECサイト構築の問い合わせに関しても大多数がインフラはAWS指定となっているのです。

※AWS(Amazon Web Services/アマゾンウェブサービス)=ITのインフラを提供するサービス


傾向としては
  • 情報システム部門の体制が大きい企業
  • SIerがシステム運用している企業
  • スクラッチでシステムをお持ちの企業
というパターンが多く、このような企業は基本的に年商も大きく、必然的に構築するECサイトも大規模なものを想定することになります。

実際に弊社で担当した案件でも、有名ワイン販売会社のPOS、百貨店EC、自転車専門店のEC、EC機能を利用したオフィスビルの予約システムなどをはじめ、現在進行している大多数の大規模案件はAWSという状況です。

かつてのオンプレミスが完全にAWSに置き換わってきている状況と言い換えることもできます。
▼三井不動産様事例インタビュー【目指したのは最先端のオフィスビルに相応しい「BtoBtoE」という価値提供。新サービス「mot.」の複雑な仕組みを支えるシステムインテグレーション】はこちらからご覧ください。



企業で導入するクラウドサーバとECサイトの構築は家族における携帯キャリアの関係に近い

お問い合わせをいただく場合、すでに何らかの形でAWSと契約があるケースがほとんどです。そこには、全社的な事情としてECサイトの構築もそこに相乗りした方が「支払いの手間を軽減」したり、「運用管理が煩雑にならない」といった思惑があります。

インフラをAWSにまとめられれば別のサーバを用意する必要がありませんので、イニシャル、ランニングともにコスト面においても有利ということになります。

これは例えるなら、家族と携帯電話のキャリアの関係性に似ています。企業が家族、インフラがキャリアと考えると、家族でdocomoの携帯を使っている場合、子供に携帯を持たせるなら、同じくdocomoを選択しますよね。よっぽど、そのキャリアでしか手に入らない特殊な機種を必要としない限り、docomo一択でしょう。家族割も使えるし、支払いも一括で済ませられます。

企業として契約するクラウドサーバという意味ではAWS以外の選択肢も色々とあり、中にはMS Azureやニフティクラウドなどが指定される案件もあります。ですが、今はAWSが圧倒的にメジャーですね。

サービスの充実度もさることながら、AWSで動かせない業務システムはほぼないという汎用性がモノを言っていると思います。

Deep Pixel / Shutterstock.com


クラウドサーバの「オートスケール」は、トラフィックの増減が激しいECサイトにとって最大の利点

大規模なECサイトの構築という視点から見た場合、AWSの最も大きな利点(これはAWSに限ったことではなくクラウドサーバの利点、ということにもなりますが)、やはり柔軟性が一番大きなポイントだと思います。

ECサイトにおいてシステムがダウンすることだけは絶対に起こしてはならないので、通常、ピーク時のトラフィックを想定してスペックを決めるのですが、大規模なサイトになればなるほど、オンプレでは無駄が出やすくなってしまいます。

例えばクリスマス商戦期と通常期ではトラフィックに何倍も差が出る事業が多いですが、オンプレだと変更が利かないのでどうしてもクリスマス商戦期に耐えうるスペックでインフラを整えておくしか選択肢がありません。すると、通常期は常にオーバースペックな状態で運用することになります。


でも、クラウドサーバであればサイトに大量の負荷がかかる時、緊急的にサーバのスペックを上げてくれるオートスケール機能が備わっているので、予想が難しいトラフィックの増減を気にすることなく、常にスペックを最適化して運用できます。
特に、季節商品を扱うECや、アパレルなど、リリースする商品によって頻繁にトラフィックが大きく変化しやすいECにおいては、絶対的にクラウドサーバが望ましいですね。

かつてクラウドサーバ最大の懸念点だったセキュリティも、今は問題なし?

最後に、”定説” の中でも懸念点となっていたAWS等クラウドサーバーにおけるセキュリティ面について少し書いておきたいと思います。

ECサイトは取り扱う情報が個人情報や金融情報など機密性の高いものばかりです。それを外部のサーバに預けるのはリスクが高くて不安だ、というのがその定説で語られている懸念点です。だから、数年前までは開発環境でのみクラウドサーバを利用し、本番環境はオンプレで構築する、というケースも多かったのです。

今、インフラとしてAWSを導入する企業が増えていますが、ECサイトの個人情報の取り扱いについてはいまだにかつてと変わらず慎重であるという企業も少なからずあると思います。

実際、私もいまだに「クラウドは怖い。そんなところに個人情報を上げるなんてもってのほかだ!」とおっしゃる担当者の方にお会いすることがあります。企業の信用問題に直結する部分ですから、慎重になるお気持ちは十分理解できます。

しかし、AWS自体、セキュリティにおける課題をないがしろにするはずがなく、日々進化しています。クラウドサーバにおける監視体制の作り方も色々ありますので、今は情報漏洩のリスクはかなり小さくなっていると言えるのではないでしょうか。
それでもなお、社内のナレッジや技術者のリソース問題など様々な事情から、企業内でセキュリティを担保できるか心配だったり、経営判断としてどうしてもECサイトの構築をクラウドサーバでやらせてもらえないという場合もあるかも知れません。

そういった場合、エスキュービズムのEC-ORANGEであれば「究極の手段」があります。基本的な機能はクラウドで構築しつつ、個人情報の取り扱いだけを切り出してオンプレで構築するのです。 かなり難しいカスタマイズになりますし、その分イニシャルコストは膨らみますが、EC-ORANGEなら実現してみせますよ。

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この記事を書いた人
清水秀大 株式会社エスキュービズム DXコンサルティング部 シニアコンサルタント
銀行・証券・保険を中心としたのシステム営業を10年勤めた後、満を辞して小売業界へ。年間200社以上の企業と商談を重ねるITコンサルのエキスパート。セールスという立場でありながら、クライアントから要件定義へのアサインをリクエストされることもしばしば。趣味はゴルフと長距離ドライブ(沖縄以外の46都道府県を走破)。
■DXコンサルタント 清水秀大 の執筆記事