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レイテンシとは:定義から計測サイトまで用語にまつわるトピックを解説

通信の応答時間「レイテンシ」は、インターネットを快適に利用する上で重要な値のひとつです。

今回は、レイテンシの意味や定義、計測方法といった基礎知識から、レイテンシにまつわる役立つ周辺情報までをご紹介します。

【目次】

レイテンシとはレスポンスタイムとも呼ばれる

レイテンシ(Latency)は、通信の遅延時間を意味する言葉です。
データ転送におけるひとつの指標であり、転送要求から実際にデータが送られてくるまでの通信遅延をこのようにいいます。つまりここでいう「遅延」とは、「電車の遅れ」や「進捗の遅れ」ではなく通信の往復時間のことをさします。
そのため、レスポンスタイム(Response time)とも呼ばれます。
通信遅延時間が短い場合は、レイテンシが低い、レイテンシが小さいというように表現します。
反対に通信遅延時間が長い場合はレイテンシが高い、レイテンシが大きいと表現します。

データおよび信号を送ってからもう一方へ届くまでの時間を、片道レイテンシ、そのレスポンスが届き始めるまでの待ち時間を往復レイテンシのように分けることもあります。その場合、往復レイテンシは次の3つの要素を足したものとなります。

  • 伝送要求の待ち時間
  • 要求に対する処理時間
  • 返信の待ち時間
往復レイテンシは、インターネットの場合ラウンドトリップタイム「Round Trip Time」の頭文字をとってRTTとあらわされることもあります。
ちなみに英語表現としてのLatencyは、本来、潜在や潜伏といった意味の言葉です。


レイテンシと関係する「スループット」とは

通信回線とデータ出入力の性能について考える時には、レイテンシだけでなくスループットについての知識も必要です。

スループット(Throughput)とは、単位時間あたりに処理できるデータ量をいいます。IT分野においては、単位時間に実行できる処理件数や、通信回線の実効伝送量という意味合いで使われることがあります。
処理できるデータ量は、コンピュータの性能によって決定づけられます。これはメモリやストレージ、CPUといったすべての装置の個々の性能と構成によって決まるため、Ping値のように明確な目安があるわけではありません。ビジネスにおいては、それぞれの分野の団体に向けて用意された試験用ソフトウェアである「ベンチマークプログラム」を実行することで計測、相対的な値として示すことが一般的です。

一方、通信の伝送量については、ビット毎秒「bps(Bits per second)」、バイト毎秒「Bytes/s」などによって伝送できる量が明確にあらわされます。なお、bpsやBytes/sは、M(メガ)やG(ギガ)といった接頭辞をつけてMbps、GBytes/sなどと表記されます。

レイテンシとスループットについて

コンピュータにおいて一般にいわれる「処理が速い」とはこのスループットとレイテンシの関係によって決まっています。
両者は状況によって支配的位置にいる要因が変わるという特徴があります。
連続して大量のデータを扱う場合は、レイテンシよりもスループットの性能が処理速度に深く関係します。

しかし通話やゲームなど、双方向的に短いデータを取り扱い、応答を待ってやり取りするようなものにおいてはスループットよりもレイテンシが処理スピードの要因として大きく関わってきます。
事例として分かりやすいのは、人工衛星や国際間海底ケーブルを介したやり取りです。国際的なやり取り、衛星を中継した放送などで遅れを感じる原因は、スループットよりもレイテンシにあります。

レイテンシはPing値で表示される

レイテンシをあらわす単位はms(ミリ秒)で、Ping値(ピン値)によって示されます。数字が小さいほど、レイテンシが小さいつまり遅延時間が短いということになります。 レイテンシが高い、つまり通信の遅延時間が長いと、サイトを訪れたユーザーは閲覧にストレスを感じます。
サクサクとページが進まないとサイトからの離脱者は増え、ECサイトの場合は収益機会の損失にも直結してしまいます。

また、アプリゲームやPC上のオンラインゲームにおいても、レイテンシの低さ(遅延時間の短さ)はスムーズな操作をおこなうため、そしてプレイに集中するために不可欠な要素となります。

FPS(First Person Shooter)と呼ばれる第一人者視点のアクションゲームにおいては、特に円滑な操作が望まれています。そのため、自宅のPC環境を計測できる便利な計測サイトやアプリもリリースされています。

新たな通信規格「5G」はレイテンシがほぼ0

2020年に新たな通信規格「5G」がスタートします。
現在活用されている4Gとの大きな違いは、以下の二点です。
  • IoT機器などの多接続性
  • 通信スピードの低遅延
通信スピードについては、レイテンシ(通信スピードの遅延)がゼロに近く、遅延なしで通信できるといいます。
通信によるレイテンシが低減されるため、クラウドにデータをアップロード、ダウンロードする際も遅延を感じることはなくなるでしょう。


レイテンシの計測サイトなら履歴で平均も取得可能

Ping値の計測は、アプリやサイトでおこなうことができます。
それぞれで計測値が異なる場合もありますが、Ping値は環境や状況によって刻々と変動するため問題はありません。
代表的な計測アプリとサイトを挙げました。
アプリは計測履歴を保存できるタイプもあり、レイテンシの平均を取得することも可能です。

グラフィックが美麗なSPEEDTEST

ネオンカラーのスタイリッシュなカラーが目を惹く計測サイトが「SPPEDTEST」です。
サイト中央に表示されている「GO」というボタンをクリックすると、

  • Ping値
  • ダウンロードスピード
  • アップロードスピード
の3つが順に計測されます。
計測を待っている間のグラフの動きもしなやかで、視認性に優れた計測サイトといえるでしょう。

・SPEEDTEST
http://www.speedtest.net/
なおアプリ版もリリースされています。
iOS、Android両方に対応。過去のレポートを閲覧、結果を画像保存などアプリならではの機能も搭載されています。

・speedtest.net Speed Test
https://itunes.apple.com/jp/app/speedtest-net-speed-test/id300704847?mt=8

Wi-Fiスポット検索としても使える「Speedcheck」

「Speedcheck」は、インターネット接続速度を計測するだけでなく、Wi-Fiスポットを検索できるアプリならではの需要を満たすソフトです。
それぞれのWi-Fiスポットは、接続速度でランクづけされており、高速でつながるスポットを検索しやすくなっています。
iOS、Androidの両方に対応しています。

・Sppedcheck
https://play.google.com/store/apps/details?id=org.speedspot.speedspot&hl=ja

表示が分かりやすいiOS向けアプリ「SpeedTest Master」

「SpeedTest Master」は、iOSのみで使えるアプリです。
日本語の分かりやすい表示が魅力で、結果の履歴を保存することもできます。

・スピードテスト -SpeedTest Master
https://itunes.apple.com/jp/app/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88-speedtest-master/id994788581?mt=8

ネットワークにおけるレイテンシの目安は50ms未満

ストレスフリーで快適にネットを利用できるPing値の目安は、50ms未満といわれています。 速さの目安を順にあらわすと次のようになります。

  • 15ms以下:非常に速い
  • 30ms以下:速い
  • 50ms未満:普通
  • 50ms以上:やや遅め
  • 100ms以上:遅い
とはいえ、快適にインターネットを利用するためには、Ping値が低ければ低いほどよいとされます。シューティング系や格闘系のオンラインゲームでは、非常に速い10msが理想とする意見もあります。


Ping値を小さくするためにできること

Ping値は、Wi-Fiとルーター、プロバイダの3つによって左右されます。
ユーザーがPing値を改善したい場合、次のような対処法によって解決することがあります。

  • 無線(Wi-Fi)から有線接続への切り替え
  • PCとルーターの距離の見直し
  • 契約しているプロバイダからPing値の低いプロバイダへの乗り換え
Wi-Fi接続は、電波干渉やルーターとPC間の障害物などによって通信速度が遅くなったり、切断されたりするリスクがゼロではありません。切断の心配をしたくない、あるいは途中の切断が許されない場面では、LANケーブルによる有線接続でインターネットを利用するのが得策です。

また、これと同様の問題になりますが、PCとルーターの物理的な距離が遠いとPing値が高くなりがちです。また、LANケーブルやルーターは旧型よりも新型の方が性能が高いため、物理的な距離や障害物がないのにPing値が高い!という場合は最新モデルへ買い換えることで改善されることもあります。

プロバイダは、超高速光インターネットを特徴として挙げる「NURO(ニューロ)」などに切り替えるほか、いくつかのプロバイダを試してみてもっとも速いと思われるプロバイダと契約する実験的な方法もあります。この場合、先に挙げたPing値計測サイトを利用して速度計測をおこなうとよいでしょう。

クラウドサービスにおけるレイテンシ

ITリソースを手元で管理する必要のないクラウドサービスは、もはやビジネスにとってなくてはならない要素となっています。さまざまなクラウドサービスを選ぶ場合、性能やストレージばかりに目がいきがちです。しかし、レイテンシの問題を避けて通るとビジネスチャンスを逃すことにもつながりかねません。
クラウドサービスは、操作者がそのサービスに到達までの間に必ずレイテンシを発生させます。これは、欲しいと思った瞬間に物を手に取ることができないのと同じことです。超能力のように欲しい瞬間にサービスを利用することは誰にもできませんが、レイテンシを小さくおさえることで3秒かかっている動作を0.5秒に縮めることは可能です。特に遅れの許されない取引や、秒単位で変化する金融市場においては、レイテンシを考慮に入れた導入計画が必要となるでしょう。


メモリの性能としてのレイテンシ

コンピュータのメモリは、CPUの指令によって動きます。この指令から動くまでが固有のレイテンシとしてあらわされます。
メモリがデータを転送する時のウェイトを「CL(キャス・レイテンシ)」、あるいはアクセスレイテンシ(アクセスタイミング)といいます。

メモリには容量を増やす特殊なチップである「Reg(レジスタ)」がついていることがあり、これがついていると若干レイテンシは高くなります。
複数のメモリを使っていて、なおかつレイテンシが異なる場合には遅い方に合わせて動作するため、なるべく同じメモリを使うことが推奨されています。


コンピュータ音楽システムにおけるレイテンシ

ゲームと同様、スムーズなレスポンスが求められるシステムにMIDI信号などを使うコンピュータ音楽があります。
コンピュータ上で作曲するDTM(Desk Top Music)や、デジタルでおこなう音の編集や録音を意味するDAW(Digital Audio Workstation)では、コンピュータを楽器として使ったり、エフェクターとして使うことがあり、数秒の遅れが創作するコンテンツに大きな影響を与えます。
コンピュータで音を出すためにはバッファに記録したデータをサンプリング周波数で割る必要があります。サンプリング周波数で割られた音は信号として出力されますが、この割った数だけレイテンシが発生するため、充分な性能がないとノイズが混じってしまうことがあります。

また、高速フーリエ変換をはじめとするデジタル信号処理アルゴリズムにもレイテンシは発生します。
コンピュータと、外部アンプや接続可能なMIDIキーボードやギターといったハードウェアを併用する場合、もしくはマルチトラックで編集する場合は、レイテンシが統一されていないとそれぞれのトラックにズレが発生してしまいます。

つまりレイテンシにばらつきがあると、それぞれが合わせて演奏しているつもりでもプレイがずれてしまったり、編集する段階でうまく組み合わせることができなくなります。しかしそれぞれのレイテンシを統一同期する補正機能があれば、異なるレイテンシが混在していても問題なく使えるようになります。

まとめ

レイテンシは、メモリの性能として、ネットワークの速さとして、またシステムの能力を測る値としても重要なワードです。この機会にそれぞれの使われる場面についておさえておくとよいのではないでしょうか。

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