動画コマースとは?ライブコマースと違う?【徹底解説】
- 動画コマースは、動画を視聴したまま商品を購入できる新たな通販である。
- 写真と文章のみの通販ページよりも、多くの情報量を動画で提示することが可能。
- メルカリ、Yahoo!ショッピング、UUUM、AbemaTVの事例は、ライブ配信によるリアルタイムのコミュニケーション、限定商品の販売などそれぞれ特徴がある。
動画コマースとは?
動画を視聴しながら、LP(ランディングページ)に遷移することなく、動画上でそのまま商品を購入できる動画コマース。Vコマースまたはビデオコマースとも呼ばれ、話題になっています。
従来のECサイトは、写真と文章のみで商品説明をおこなわなければならず、実店舗と比較すると、アイテムの使い方や着こなしを説明しづらいという問題がありました。しかし動画コマースの登場によって、写真や文章だけでは難しかったさまざまなプレゼンが可能になり、購買層へ強く商品の魅了をアピールできると期待されています。
ここでは動画コマースについて事例やメリット、デメリットなどを徹底解説します。
ライブコマースとの違い
まずは、動画コマースと「ライブコマース」の違いについておさえておきましょう。ライブコマースは、生放送でつながっている視聴者とコミュニケーションをとりながら商品を紹介するECの技術です。これには、インフルエンサーと呼ばれるSNS上で影響力をもつ人物の協力や、魅力的な配信にするための工夫が不可欠となります。
ライブコマースについては、ライブコマースとは?『ライブコマース』提供サービス7選!でも詳しく解説しています。こちらもチェックしてみてください。
動画コマースのメリット
動画コマースのメリットは、
- より多くの情報を消費者に伝えやすい
- 商品の利用方法を静止画よりも詳しく示すことができる
- 動画のシェアにより情報が拡散、共有されやすい
という3点が挙げられます。
より多くの情報を消費者に伝えやすい
アイテムの詳しい紹介、製作者(生産者)の思いなど、写真や文章のみでは伝わりにくい情報も、動画ならさまざまな編集方法を用いることで、消費者へダイレクトにうったえかけることができます。
商品の利用方法を実際に示すことができる
たとえば、組み立て式の商品は、実際に組み立てる動画を制作することも可能です。組み立て式商品にありがちな「作り方が分からない」といった問い合わせを減らすことにもつながります。
説明動画は、リアルタイムにコミュニケーションをとる必要があるライブコマースよりも、動画コマースの方が向いているといえるでしょう。早回しやスローモーションといった編集をほどこすことで、余分な部分を編集できるからです。
ファッションアイテムも、着用した様子やコーディネート例を動画であらわすことによって、視聴者が共感を得やすく、また憧れを喚起し、購買意欲を刺激できます。
動画のシェアにより情報が拡散、共有されやすい
こうした動画は、SNSやメールといったツールで気軽にシェアされやすいのもメリットです。人は「面白い動画だと思ったからシェア」、「きれいだったからシェア」など、さまざまな動機から動画をシェアします。
そのため、より多くの消費者に情報を拡散できる可能性もあります。
ちなみに、ライブコマースはその場の雰囲気を楽しむという側面があるため、シェアの宣伝効果を狙うなら動画コマースが適しているといえるでしょう。
動画コマースのデメリット
動画コマースのデメリットは、
- 情報が時系列でしか閲覧できない
- 魅力的な動画を制作しないと見てもらえない
という点が挙げられます。
情報が時系列でしか閲覧できない
写真と文章で構成された通販ページは、閲覧している消費者の見たいところを見たい順番でチェックすることができますが、動画は紹介する内容を入れ替えることができません。
そのため、動画のスタート時に興味がないと思われてしまうと、そこで視聴を打ち切られてしまう可能性があります。
動画のトップに掴みのある情報、もしくはインパクトのあるキャッチフレーズや映像を入れるとよいでしょう。
生配信であるライブコマースの場合、インフルエンサーや芸能人といった魅力的なプレゼンターが放送を仕切ることで、冒頭のインフォメーションに興味がない消費者も継続的に視聴をする可能性があります。
魅力的な動画を制作しないと見てもらえない
デメリットの2つめについても、同様のことがいえます。
インフルエンサーや芸能人など、「求心力をもっている人物」に商品の特徴を説明してもらうライブコマースと違い、動画コマースは商品それ自体の魅力で勝負しなくてはなりません。
組み立て式の商品を紹介する際も、組み立て方を流れ作業で撮影するのではなく、テロップを入れたり別角度からの映像を挿入するなど、分かりやすく見ていて飽きない動画コンテンツが必要です。
動画コマースの主な事例
動画コマースのメリットとデメリットを知ったところで、以下の各社の取り組みについてチェックしてみましょう。
- メルカリの動画コマース「メルカリチャンネル」
- Yahoo!の動画コマース「Yahoo!ショッピングLIVE」
- UUUMの動画コマース「MUUU」
- サイバーエージェントの動画コマース「売れるAbemaTV社」
メルカリの動画コマース「メルカリチャンネル」
CtoCの代表格であるフリマアプリ「メルカリ」は、ライブ配信でリアルタイムに商品を売買できる「メルカリチャンネル」サービスをおこなっています。
「メルカリチャンネル」では、一度の配信でいくつもの商品を紹介することができ、配信中にリアルタイムで購入希望のユーザーとコメントをやりとりすることも可能。
配信する側にとっては、商品が購入されやすくなるというメリットがあり、視聴するユーザーにとっては、出品者の顔がみえる、商品について直接コメントできるといったメリットがあります。
現在では一部のユーザーにのみ利用が許可されていますが、順次拡大していく予定とされています。
Yahoo!の動画コマース「Yahoo!ショッピングLIVE」
Yahoo!の動画コマースは、スマホアプリへ向けた配信サービスです。現在はiOSとAndroidにそれぞれ対応しており、未定ではありますが将来的にWeb版もリリース予定とのこと。
法人の出店者は、専用のアプリ「ストアクリエイター」を使うことで、ライブ配信機能を利用できます。配信時間帯は毎日18~23時。30分枠を予約することで動画を発信可能になります。
ライブ配信できるカテゴリーはレディース/メンズファッション、家具、インテリア、食品、ドリンク、水、お酒、キッチン、日用品、文具、コスメ、美容、ヘアケアで、一度の配信で10商品までを販売することができます。
UUUMの動画コマース「MUUU」
YoutubeのマネジメントをおこなうプロダクションUUUMは、通販サイト「MUUU(ムー・ドットコム)」において動画コマースを活用しています。
もともとHIKAKIN(ヒカキン)やはじめしゃちょーといった人気ユーチューバーを抱えるUUUMは、ユーチューバーの人気と集客力を活かしてMUUUを立ち上げました。TVよりもYoutubeの方が身近という若年層向けに、ユーチューバー・グッズやMUUUでしか購入することができない商品を取り扱っています。
動画のスタイルや時間を自由にして、ユーチューバーのキャラクターを活かした動画配信が、最大の特徴です。
サイバーエージェントの動画コマース「売れるAbemaTV社」
サイバーエージェントがインターネットテレビ局「AbemaTV」でスタートさせた動画コマース番組は、「マジでヤバいモノが手に入る!売れるAbemaTV社」です。オリエンタルラジオの藤森慎吾さんがMCを務め、実演販売士やホストといったさまざまな人物が商品を紹介する通販番組で、商品の調達もサイバーエージェントやテレビ朝日が共同出資した「株式会社売れるAbemaTV社」がおこなっています。
KDDIも動画コマース市場に参入!(2018/3/13追記)
携帯キャリア大手のKDDIと、DELISH KITCHENなどの動画メディアを運営するエブリーが業務提携しました。KDDIは総合ショッピングモールサービス「Wowma!」でも動画コマースを展開予定とのことです。
参考:KDDI、動画メディア事業を展開するエブリーとライブコマース提供に向けた資本業務提携を締結
http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2018/03/12/2999.html
まとめ
動画コマースは、商品に関する多くの情報を消費者に提供することができ、宣伝費をかけなくてもシェアされやすいというメリットがあります。
魅力的なコンテンツにすることで閲覧数や利用者数を増やせる動画コマースは、ECの新たなテクノロジーとして今後ますます見逃せない存在になるでしょう。