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ポイントサービスやポイント共通化で生まれるメリットとは

一定の条件を満たすとそれに応じたポイントが付与され、何らかの特典を受けられるポイントサービスは、もはや当たり前のシステムとなりました。実店舗に限らずECサイトにおいてもポイントシステムは数多く導入されていますが、このサービスが普及したことによって新たな弊害も生じています。

各店舗やサイトで採用されているポイントサービスはあまりにも独自性が高いため、消費者はポイントによる恩恵が得られなくなってしまうなどの問題です。

ポイントサービスはもともと販売促進のために導入されたサービスであったはずが、かえって客足を遠のかせかねないと言う実情もある中、近年になって進んでいるのがポイントの共通化です。
店によってオリジナルのポイントを用意するのではなく、お金のように価値が共通化されたポイントを各店舗で採用することにより、ポイントサービス本来の効果を加盟店同士で享受しようと言う施策です。

今回はそんなポイント共通化についての動向や、ポイントサービス導入のメリットなどについてご紹介していきます。

【目次】

ポイント共通化とは

ポイントサービスは100円分の購入で1ポイント還元など、実質的な割引サービスとして誕生しました。ところがこのサービスが全国的に普及していく中で、店舗毎での顧客の囲い込みとしての意味は小さくなっていき、現在では加盟店における販売促進効果を促すサービスとして活用されています。

以下のような共通ポイントサービスが普及し、多数の企業が参画するようになってユーザーの利便性が上がってきました。
     
サービス名 会員数 利用店舗数
Tポイント 約6,788万人(2018年9月) 約94万店(2018年9月)
ponta 約8,968万人(2019年1月) 約20万店(2019年1月)
楽天スーパーポイント 約9,870万(2018年6月)
※共通ポイントに紐付く楽天IDの数
約70万ヶ所(2017年9月)
※楽天Edyの加盟店も含み、ポイントが利用できず付与されるだけの店も含まれる
dポイント 約6,652万人(2018年8月) 約3万8600店舗(2018年8月)
WAON POINT 約5200万人(2018年4月) 約2万7000店(2018年4月)
●会員数の数え方は各社で異なるため、あくまでも目安です。
■各共通ポイントサービスについては、後述する「現在広く採用されている共通ポイント」でも解説しています。

ポイント共通化は各グループ同士でポイント付与についてのルールを取り決め、同じ還元率で各ポイントを利用できるように進められてきました。2000年代前半のポイントカード登場以来、加盟店は各ブランド毎で徐々に増え始め、今では参加企業が180社、会員数は6000万人を超えるポイントサービスも存在します。

いわゆるスタンプカードとは異なり、デジタル化されたポイントを扱うサービスは実店舗だけでなく、オンラインのECショップでも利用することができるとして、大手ECサイトなどでは積極的に共通化されたポイントの導入も進んでいます。
特にアパレルなどは近年EC市場における売り上げの増加が著しく、ポイント共通化が進むことでさらなる販売促進効果が生まれることも期待されています。

ポイントサービス導入のメリット

ないよりもあった方が良いとされるポイントサービスですが、現状このシステムはどのようなメリットを導入時にもたらしてくれているのでしょうか。


商品に付加価値をもたらす効果

ポイントシステムを導入する理由として、最も大きいのこのメリットでしょう。他のECサイトや店舗との差別化が難しい商品、例えば食料品などを扱っている場合、自社のショップで購入してもらえるきっかけづくりを行う場合には大いに役立つはずです。

逆に自社製品のオリジナリティが高く、すでに一定の顧客が定着している場合にはこの効果を実感しにくいかもしれません。すでに自社ブランドが付加価値として定着しており、わざわざポイント制を導入することはかえってブランド価値を低下させてしまうことにもなりかねないでしょう。
付加価値を求めてポイントサービスを導入する場合、まずは運営しているサイトや店舗が客観的に見てどのような位置付けとなっているかを確認する必要があります。

利用者との効果的なコミュニケーションが可能に

ポイントサービスを導入することは、運営側で利用者がどれくらいの頻度で利用してくれているかをわかりやすくする上でも役に立ちます。

ポイントカードの有無だけでも初回利用者にはリピーターとなってもらうためのキャンペーンや案内を届けることができますし、ポイントをすでに持っている利用客にはさらにお得感を覚えてもらうためのポイント倍増キャンペーンなどを打ち出すことで、より頻繁に利用してもらえるかもしれません。

ただ、共通化されたポイントを導入する場合には必ずしも自社店舗で消費しているとは限らず、ポイント利用の有無が今述べたような目安としては信頼性が落ちてしまう店には留意しておきましょう。


顧客情報の獲得

ポイントサービスを導入している場合はポイントの有無やどれくらいのポイントを保有しているかが優良顧客を見極める際の大きな足がかりとなりますが、ポイントサービスの利用にあたって登録された個人情報も有益です。

普段利用する店舗を把握して在庫の案内などをスムーズに送ることもできますし、最近の購入履歴からその人が次に購入するであろう商品をある程度予測して接客やクーポンの配布などを送ることも可能になります。
共通化されたポイントサービス利用時もこのメリットはさらに可能性が増していき、いわゆるビッグデータの収集にも役立つようになりますが、この点については後述します。


利用率向上施策の足がかりに

会員情報が自社のデータベースに登録されることで、利用客に対してダイレクトメールやメルマガなどを送信できるようになります。

勝手にDMやメールマガジンが送られてくることを不快に感じる顧客もいるかもしれませんが、会員登録の際にあらかじめ断りを入れておいたり、頻度を抑えるといった施策で不快感を抑え、思い出したときに再び利用してもらえるような効果を狙う際には有効となるでしょう。


客単価の向上

ポイントサービスが導入されていることで、還元率によっては大量の購入を促すことにもつながります。「あと◯◯円の購入でポイント付与対象に」などといった心理を刺激し、わずかながらも無視できないインセンティブを生み出すことにも期待できます。


競合他社との差別化

ポイントサービスの本来の目的は競合他社との差別化です。独自のポイントシステムと特典を用意することで顧客の囲い込みを行い、客足が流れてしまわない効果を狙うことができます。

ただ多くの店舗でポイントサービスが展開されるようになったため、ポイントの有無による差別かよりもどのようなポイントサービスを導入しているかという点で違いが生まれている側面もあります。

他社との差別化がポイントサービス登場時とは変化しており、共通化ポイントが普及したことでこのメリットの捉え方に違いが生じている点は注目しておく必要があります。

ポイント加盟店との協力関係

ポイントサービスは単一の店舗やECサイトだけでなく、同じポイントサービス加盟店同士で協力してキャンペーンを展開し、新規顧客の獲得や消費の促進を相乗的に行っていくことも可能にあります。

例えば飲食店とアパレルショップという組み合わせであれば、加盟店の飲食店で食事をし、そのレシートを同じ加盟店のアパレルショップで提示すると割引サービスが受けられたり、ポイント倍増サービスを受けられるといった具合です。

ポイントの共通化によって、このようなサービスは今後増加していくことが見込まれます。

従来のポイントサービスが抱えてきた問題点

上記のようなポイントサービスのメリットを期待して導入を進めても、いまいち成果が現れなかったというケースもあります。

ポイントサービスの乱立による販売促進効果の減退

ポイントサービスは自社における消費の促進を狙って導入されるものですが、現在はポイントサービスがあまりにも普及しすぎているために利用客がポイントサービスを煩わしいと感じ、サービスを受けなくなってしまっているケースも見られます。

財布の中に複数のポイントカードを保有しているのが面倒だったり、どれだけポイントを貯めても期限が切れてしまうと利用できなくなるなどの理由から、ポイントカードの利用を進められても断るケースは少なくありません。

それなりの導入コストをかけたのにも関わらず、販売促進効果が得られないばかりか客足が遠のいてしまうという事態は避けたいものです。

ポイント共通化がもたらした変化

そんなポイントサービスの価値が問われる中、現れたのがポイントの共通化です。ポイントの共通化には二種類存在しますが、一つはECと実店舗でのポイントの共通化です。

ポイント共通化でEC利用客の増加も

オンラインショップと実店舗で同様のポイントが使えるという施策は広い範囲で定着しており、店舗での購入で付与されたポイントがオンラインショップでも使えるようになったことで、店舗利用客とEC利用客をクロスオーバーさせることが可能になりました。この手法は家電量販店などで広く採用され、実店舗を持たないAmazonなどの大手ECサイトとの差別化を図ることに成功しています。


ビッグデータへの注目

もう一つは事業会社が同じポイントシステムを導入するというものですが、ポイント制度を導入している事業者にとって、ビッグデータの収集に最適化されたシステムでもあります。

ポイントサービスが各社で乱立してしまうことは消費者にとって煩雑であるだけでなく、データを運用する側にとってもデータ収集効率を低下させてしまうデメリットがありました。しかしながら共通化ポイントを各社が導入することにより、データ運用の効率も向上し、別個の企業からは得られにくい消費者の動向を追うことが可能となったのです。


複数のポイントサービスを導入する企業も

共通化されたポイントが広く普及するようになったことで、ポイント事業者は加盟店舗を奪い合う様相を見せていますが、一部事業者では複数のポイントサービスを採用するケースも見られます。
例えばマクドナルドでは複数のポイントサービスを利用することができ、利用者のニーズに応じたポイントサービスを店舗ごとに提供しています。

しばらくはこうしたポイントサービスの並列が続くものの将来的には今よりもさらに限られたポイントサービスへと集約されていくという意見もあります。

いずれにしろ、共通化ポイントの導入に際してはユーザーの多いものを選ぶことがまずは重要になることでしょう。

現在広く採用されている共通ポイント

現在国内で導入されている共通ポイントは、主に5つに分けられます。

Tポイント

ポイントシステムの先駆けとなったツタヤTポイントは、今日においても最大規模のネットワークを維持し、拡大を続けています。会員数は6700万人、加盟店舗数は83万件にも及ぶとされています。

Ponta

Ponta(ポンタ)はローソンなどで見かける共通ポイントで、幅広い分野の店舗などで利用できるのが特徴です。会員数はTポイントを上回る8600万人となっています。

楽天スーパーポイント

主要な共通ポイントの中では唯一オンライン発祥の楽天ですが、会員数は楽天ID保有者含め1億人弱の数字となっており、そのポテンシャルは驚異的です。ネットショップとの相性も良く、楽天市場利用者にとっては嬉しいポイントサービスです。

dポイント

こちらも通信会社であるドコモが事業者のポイントシステムで、ドコモユーザーと紐つけられているため、利用頻度や促進効果も高いと考えられているサービスとなっています。

WAONポイント

イオングループの展開するWAONポイントはオフラインでの運用に強いサービスです。イオングループの施設などをよく利用する際には心強いポイントとなっています。

ECサイトと実店舗の紐付けを考慮する際の選び方

ヨドバシカメラやビックカメラが実施しているようなオンラインとオフラインでのポイント共通化による促進効果を期待する場合、独自の共通化ポイント制度を導入するか、楽天のようなオンラインに強いポイントシステムを採用することを心がけると良いでしょう。

EC市場が拡大し、小売店舗の縮小が予測されている今日においては、こういった付加価値のあるシステム導入を考える上でもいずれはオンラインにシフトしていくことのできるようなサービスの利用を念頭に置いておく必要があると言えそうです。

[dejima_LP]