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高齢者向けのECサイトが必要とする機能とは

「シニア向けのECサイトを作りたいけど、どんな機能があるといいんだろう…」

と思っている方。

総務省の統計によると、高齢者の人口は全体の27.3%にものぼり、過去最高を更新しています。ECサイトでショッピングを楽しむ高齢者も増えはじめ、高齢者に向けたECサイトを開設する会社も出はじめました。

とはいえ、どんな機能があると高齢者が使いやすいECサイトになるのかはわかりにくいですよね。

そこで、この記事では

  • 高齢者のECサイト利用率
  • 高齢者向けECサイトが必要とする機能
  • 高齢者向けのECサイト事例3選
の順に、高齢者に向けたECサイトを作るポイントについて解説します。

難しく感じるかもしれませんが、押さえるべきコツは意外と多くありません。

まずはこの記事で、高齢者向けECサイトの機能について大まかに概要をおさえましょう!

【目次】

高齢者のECサイト利用率は上がっている

総務省の統計によれば、平成18年(2006年)から平成28年(2016年)までの10年間で、高齢者のネットショッピング利用は2.9倍にまで伸びています。

http://www.stat.go.jp/data/topics/topi1034.html
統計局ホームページ – 「統計トピックスNo.103 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで」


ネットショッピングは若い世代がたくさん利用していると思いがちですが、高齢者で利用する方も増えているのです。


高齢者がECサイトで買うものは「旅行」「食料品」「衣類」「家電」

また、前述の資料を引き続き見てみますと、高齢者の方がECサイトで買うものは、

  • 旅行
  • 食料品
  • 衣類
  • 家電
が多いという結果が出ています。なお、65歳未満の世帯と比べると、医薬品や健康食品、保険、食料品の消費が多く、健康や趣味にお金を使っていることがわかります。


高齢者は1つのサイトをリピートしやすい

また、高齢者の方はよいサイトだと思ったら、そのサイトを何度もリピートしやすいのも特徴です。若い世代はいろいろなサイトを使って価格や仕様を比較する方が多いですが、シニア層の方は使いやすいと思ったサイトを何度も使います。
そのため、高齢者向けECサイトにおいて使いやすさを重視することは、売上に直結する大切なポイントなのです。


続いては、高齢者向けECサイトが必要とする機能を解説します。

高齢者向けECサイトが必要とする9つの機能

ここからは、高齢者向けECサイトが必要とする機能を、

  • ECサイト全体で必要な機能5つ
  • 商品ページや注文・決済ページに必要な機能4つ
の順に合わせて9つ紹介します。


ECサイト全体で必要な機能5つ

ここからは、ECサイト全体で必要な機能を

  1. 会社概要や電話番号は見やすいところに大きく表示する
  2. ボタンや文字サイズも大きめに表示する
  3. カタカナ語は言い換えるか、注釈を入れる
  4. 導線をシンプルにして、商品を見つけやすくする
  5. カテゴリー分けを細かくして、検索なしでも商品を見つけやすくする
の順に5つ紹介します。

1. 会社概要や電話番号は見やすいところに大きく表示する
まず会社概要や電話番号は見やすいところに大きく表示します。というのも、高齢者の方には「インターネット=危ないもの」と思っている方も少なくなく、ECサイトで商品を買うのが不安な方は多いです。

そのため、ECサイトを運営している会社の名前や住所などの概要、電話番号はトップページやヘッダーなどの見やすいところに表示します。これにより、運営者の情報がわかり、問い合わせもしやすいサイトというイメージを付けることが可能です。

参考:高齢者向けECは問い合わせ対応が命

高齢者はとにかくインターネットやパソコン操作に不慣れな人が多いです。そのため、何度も商品ページに書いてあることを電話で確認してきたり、そもそものPC操作に関する質問をネットショップにしてきたりします。

確かに、この問い合わせラッシュは困りますよね。でも、その分一度信用を勝ち取ると、いつまでもリピートしてくれる超優良客になります。「心」や「親切」を大事にするとも言えます。
一方、問い合わせなどを不要とし、自分で買い物ができる若者は心よりも「最安値」の方が大事なことが多いです。そのため、定着をなかなかしてくれません。

少し面倒ではあるのですが、誠意を尽くした分だけきちんと応えてくれるのが高齢者EC。問い合わせには真心を持って対応するのがおすすめです。


2. ボタンや文字サイズも大きめに表示する
大きめのボタンや文字サイズを意識して、ストレスなく見ることができるサイトにすることも大切です。16pxくらいがちょうどわかりやすく読める文字サイズで、行と行のあいだも広く取って、リンクもクリックしやすい表示にします。

若い世代も利用するサイトであれば、文字サイズを調節できるボタンを置くのも1つの手段です。


3. カタカナ語は言い換えるか、注釈を入れる
なんとなく使ってしまうカタカナ語は、高齢者の方にとって理解が難しいものが多いです。例えば、

  • レビュー→お客様の声
  • ログイン→会員の方はこちら
  • FAQ→よくある質問
など、高齢者の方にとってわかりにくいカタカナ語はできるだけ日本語にします。また、どうしても直せないカタカナ語は、注釈を入れるなどの工夫が必要です。

4. 導線をシンプルにして、商品を見つけやすくする
ごちゃごちゃとしたサイトは、高齢者の方にとって「見づらく、ショッピングがしにくいサイト」というイメージを与えてしまいます。そのため、トップページから商品ページまでの動線は限りなくシンプルにすることが大切です。

キャンペーンバナーや特設ページヘのリンクを並べるのも効果的かもしれませんが、サイトを離脱されてしまっては意味がありません。まずは、使いやすくシンプルなサイトを作る意識が欠かせません。


5. カテゴリー分けを細かくして、検索なしでも商品を見つけやすくする
商品のカテゴリー分けをできるだけ細かく、かつ漏れやダブリがないようにします。そして、サイト内で検索しなくても商品を見つけやすくすることも重要です。

なるべく1ページに入る情報は少なくして、見やすく商品も探しやすいサイトづくりを意識しましょう。
ここまで、ECサイト全体で必要な機能を

  1. 会社概要や電話番号は見やすいところに大きく表示する
  2. ボタンや文字サイズも大きめに表示する
  3. カタカナ語は言い換えるか、注釈を入れる
  4. 導線をシンプルにして、商品を見つけやすくする
  5. カテゴリー分けを細かくして、検索なしでも商品を見つけやすくする
の順に5つ紹介しました。

次は、商品ページや注文・決済ページに必要な機能をお伝えします。


商品ページや注文・決済ページに必要な機能4つ

ここからは、商品ページや注文・決済ページに必要な機能を、

  1. 印刷ボタンを設置して、共有しやすくする
  2. 商品の説明をより丁寧にする
  3. 注文方法に「電話注文」や「はがき注文」、「FAX注文」を入れる
  4. 決済方法に「代金引き換え」や「後払い」を入れる
の順に説明します。

1. 印刷ボタンを設置して、共有しやすくする
高齢者の方はよいと思った商品をSNSでシェアするのではなく、印刷して紙で共有することが少なくありません。

そのため、高齢者向けECサイトには印刷ボタンが欠かせません。思い立ったときにすぐ印刷できるサイトにしておく必要があります。
2. 商品の説明をより丁寧にする
高齢者の方は商品をじっくり選ぶことが多いです。そのため、商品の説明をふだんよりも丁寧にしておきます。

また、画像や動画を入れてわかりやすくするのもおすすめです。
3. 注文方法に「電話注文」や「はがき注文」、「FAX注文」を入れる
注文の際に

  • 電話
  • はがき
  • FAX
から注文できるようにしておくことも大切です。とくにFAXについては総務省の「平成27年版 情報通信白書」にあるとおり、60代のFAX利用率はおよそ30%で30代の3倍です。
高齢者の方にとって紙の安心感はまだまだ根強く、ECサイトでも対応する必要があります。

4. 決済方法に「代金引き換え」や「後払い」を入れる
決済方法についても、クレジットカードやPayPalだけでなく、

  • 代金引き換え
  • 後払い
などの決済方法を入れましょう。高齢者の方は、クレジットカードの情報をサイトへ入力することにかなり不安を感じている状況なので、現金で支払う方法をいくつか準備することが大切です。

ここまで、商品ページや注文・決済ページに必要な機能を、

  1. 印刷ボタンを設置して、共有しやすくする
  2. 商品の説明をより丁寧にする
  3. 注文方法に「電話注文」や「はがき注文」、「FAX注文」を入れる
  4. 決済方法に「代金引き換え」や「後払い」を入れる
の順に紹介しました。次は高齢者向けのECサイト事例を解説します。

高齢者向けのECサイト事例3選

ここからは高齢者向けのECサイト事例として、

  1. 世田谷自然食品
  2. Amazonパントリー
  3. 美健倶楽部
の3つを紹介します。

世田谷自然食品

https://www.shizensyokuhin.jp/
世田谷自然食品


世田谷自然食品では、高齢者が利用しやすいように全てのページで「電話番号」「FAX番号」を表示しています。

また、

  • ショッピングカート→買い物かごを見る
  • ユーザーページ→お客様ページ
  • FAQ→よくあるご質問
のように、高齢者の方もわかりやすい言葉にしているのも特徴的です。

また、「定期コース」が各商品に設定してあり、商品がなくなる度に同じ商品を注文する必要がないように、まとめ買いの回数や配送頻度を設定して買い物ができるようになっています。
高齢者の購入の特徴であるリピート購入にリーチする方式をうまく取り入れ、さらにECサイト運用としては効率的な方式といえます。


Amazonパントリー

大手ECサイトのAmazonでは食品や日用品を販売する「Amazonパントリー」をはじめています。

食品や日用品を必要な分だけ買うことができるので、重い荷物を運ぶのが難しい高齢者の方でも簡単に買い物することが可能です。

https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=3485873051
Amazonパントリー


美健倶楽部

宅配食サイトの美健倶楽部も高齢者向けです。ボタンや文字が大きめで、カタカナ語を極力少なくしていることがわかります。

お試しセットの購入からスタートし、正式な申込後は定期購入方式に移行となるようです。

http://www.bikenclub.com/
美健倶楽部


高齢者が使いやすいサイトを作って、売上アップへ!

ここまで、高齢者向けECサイトについて、概要や必要な機能、事例を紹介しました。高齢者のEC利用率は上がっており、今は対応していないサイトでも今後は対策をしていく必要が出てくるはずです。

おさらいすると、高齢者向けECサイトに必要な機能は、


【ECサイト全体で必要な機能5つ】
  1. 会社概要や電話番号は見やすいところに大きく表示する
  2. ボタンや文字サイズも大きめに表示する
  3. カタカナ語は言い換えるか、注釈を入れる
  4. 導線をシンプルにして、商品を見つけやすくする
  5. カテゴリー分けを細かくして、検索なしでも商品を見つけやすくする
【商品ページや注文・決済ページに必要な機能4つ】
  1. 印刷ボタンを設置して、共有しやすくする
  2. 商品の説明をより丁寧にする
  3. 注文方法に「電話注文」や「はがき注文」、「FAX注文」を入れる
  4. 決済方法に「代金引き換え」や「後払い」を入れる
の合わせて9つでした。そして事例では、

  1. 電話やFAXがしやすく表記もわかりやすい「世田谷自然食品」
  2. 食品や日用品を必要な分だけ買い物できる「Amazonパントリー」
  3. ボタンや文字が大きめで、カタカタ語は少ない「美健倶楽部」
の3つをお伝えしました。

まずは事例を参考に、自社ECサイトとの差を洗い出すところからはじめてみてください。

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この記事を書いた人
佐々木ゴウ

大手Sierや、ECコンサルティング会社での経験を活かし、ファッションや食品などの各種商品ジャンルから、バックオフィス、ITインフラ系まで幅広く執筆が可能。webライティングの講師や、メディアコンサルティング、採用系メディアの編集長なども請け負っている。趣味は盆栽。