Eコマースとは?基礎から最新知識まで公開/小売にもたらす変化
「Eコマースってなに?ECとは一緒なの?違いがわかりにくい…」
と思っている方。
アメリカのショッピングモール型ECサイト「amazon」や中国のショッピングモール型ECサイト「アリババ」の躍進により、Eコマース(電子商取引)の規模は年々巨大化し、大小の規模を問わず日本市場にもEC化の波が押し寄せつつあります。
一方、消費者の買い物がインターネットを通じてますます便利になっていく中で、大手百貨店や個人店経営者のEC化率の低さから、ECにうまく対応できない小売業者についての議論も大きくなりつつあり、このままではEコマースに飲み込まれてサービスが成り立たなくなるという声も聞こえてくるほどです。
これまでに類を見ないスピードで市場規模を拡大し、小売業者と消費者に影響を与えているEコマースは時として悪者のように表現されることもあるほどですが、これだけ消費者に受け入れられているのには理由もつきものですし、実店舗経営にも生かせるヒントが隠れているかもしれません。
そしてなにより、
Eコマースは小売業を大きく変化させる影響力を持っているものの、既存の実店舗経営を破壊する存在ではない点も注目すべきでしょう。
今回はそんなEコマースと小売業、特に実店舗での商取引との関係や、これからのEコマースのもたらす可能性についてご紹介します。
Eコマース、というとどこか難しく感じるかもしれませんが、概要を押さえるだけならハードルは高くありません。
まずはこの記事でざっくりとEコマースについて理解していきましょう!
「eコマース」の「e」は、「Electronic」の省略で、「eコマース」を正式に言うと、「Electronic Commerce」のこと。
予備知識ではありますが、「eコマース」の「e」に小文字が当てられている理由は、科学で使われる電子(electron)が通常「e」と小文字で表現することが由来になっていると言われています。
そして「eコマース」つまり電子商取引を具体的に言うと、
インターネットなどのネットワークを介して商品情報を発信し、契約(売買契約等)や決済などを行う取引形態のことで、インターネットでものを取引することの総称となります。
さらにこのメディアのタイトルにもある「EC」は「Eコマース」の略称です。
“eコマース=電子商取引”は以下の通り、3つに大別することができます。
既に顧客はスマホを持ち、日々検索を行い、商品購入と決済をモバイルから行っていますが、これはEコマースというよりMコマースといえます。
Eコマースとの大きな違いは画面の大きさやデータ容量の制限などがデメリットになるかと思いますが、タブレット端末の普及や次世代通信規格の5Gの登場によって、EコマースとMコマースの差はなくなっていくと考えられます。
つまり、MコマースはEコマースの発展形であり、Eコマースの1カテゴリーといえます。
EコマースはPCでの利用、Mコマースはスマホなどの携帯電話、タブレット端末、PDAなどから利用されています。
Mコマースは携帯できるモバイル端末によって行われるため、PC利用のEコマースより日常的で、場所や年齢などが広範囲となったのも特徴です。場所にこだわらず、電車や車などの移動中でも購買行動が可能となりました。
インターネットが携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などの普及によって一般的に広がり、個人でもECサイトの構築が簡単にできるようになりました。BtoC、BtoBだけでなくCtoCの商取引市場も拡大しています。
個人の生活環境だけでなく、ビジネスにも大きな影響を及ぼしているのです。
実店舗での購入と違い、EコマースやMコマースではいつでもどこでも買い物ができます。価格や商品機能の比較を、様々なECサイトで行い、口コミやレビューを吟味して、納得のいく購買ができるのもEコマースの特徴です。
ここまでで、Eコマースのざっくりとした概要はつかめましたでしょうか。次は、Eコマースの現状を見ていきます。
オンラインでの通信販売における商取引額は実感できるレベルで大きくなってきている理由はこの伸び率にあります。
物販のEC化率ですが、2015年度は4.75%、2016年度は5.43%となっており、EC化そのものも徐々に推進されていることがわかります。EC化率が進めば進むほど、物販のEC市場規模の伸び率もますます増加していくことになるでしょう。デジタル分野の取引よりも、食品や日用品をはじめとする物販系分野の取引が通信販売の主流となりつつあるのです。
ちなみにECの市場規模に関していえば、日本は国際的に見れば比較的緩やかな成長を見せている国の一つに分類することができます。EC市場の伸び率が特に顕著なのは中国やインド、シンガポールといった成長性のあるアジア諸国で、ICT産業の発展と経済成長の著しい国ではEC規模の伸び率はどこも20%を前後するほどの勢いを見せています。
もちろんアメリカも経済成長しているIT超大国ですので、EC市場は同レベルの成長率を更新していることは覚えておくべきポイントです。
これまでのオンラインでの取引といえば
前述の経産省の調査資料にもCtoCについての言及が見られ、「シェアリングエコノミーの登場」に紐つけて消費者の消費の変化について語られています。
資料によれば、BtoCからCtoC市場への変化はすでに消費者の手元にあるモノやサービスをシェア利用するためのシステム・消費関連サービスが十分に構築されたことによって大きな変化をもたらしたとしており、シェアが行き渡ったシステムにBtoCの入り込む余地は少ないと見ることができます。
こういったことから、日本人が実店舗でものを買わなくなった理由にはECの登場よりも、シェアリングエコノミーが構築され、徐々に一般層に浸透していることが大きな理由として考えることができそうです。
オンラインでの販売サイトが増加したというよりは、情報通信技術の発達によって消費関連企業とサービス系分野が成長し、ユーザーのニーズに応えてくれる存在となったことが国内EC市場の発展に寄与しているのです。
確かに家から歩いて1分くらいの場所にスーパーがあったり、仕事の帰り道に安く購入できるお店が存在する、あるいは緊急で10分以内にそれを手に入れたいということであれば実店舗に利があるかもしれません。
しかしEコマースは平時の買い物において大きなアドバンテージを有しており、
アパレル産業は比較的EC消費を行いにくい分野であると言われますが、ZOZOTOWNの躍進を見れば消費者が機能の便利さを優先して利用していることは明らかでしょう。
加えて即日配達やトラッキングコードの導入によって、運送会社のような消費関連企業が消費者側にとって非常に使い勝手の良い存在になったことも、化粧品やアパレル産業のような、ECではやりづらかった事業が成長している理由として数えられるでしょう。
また、実店舗と比べて決済ステップが多様なのもECのメリットです。例えば、
とはいえAmazonのようにブランドがある大手ECも未だ対応しきれていないデメリットを抱えています。それは実店舗がないことによる店舗体験の欠如です。
というのも、本屋は単純に本を買う場所以上に、本と出会う場所としての店舗体験を提供することも価値で、それをサービスの一つとして提供しているからです。AmazonのようなECショッピングでは、あまりの商品の多さにじっくりと本を品定めする余裕を与えてくれません。Amazon Booksが実店舗でオープンしたのも、そういった店舗体験も抑えなければならないというAmazonのニーズがあったからこそのプロジェクトであることが考えられます。
情報化を推進し、あらゆるものが可視化されてしまったが故に生まれつつあるニーズと言えるでしょう。
あるいはオーガニック食品やハンドメイド製品の温かみも、実店舗、あるいは個人経営ならではの消費者の店舗体験と言えます。簡素なネットショッピングではなく、温かみが売りである商品には実店舗との相性が良いと言えるでしょう。大手オーガニック系スーパーマーケットであるWHOLE FOODS(ホールフーズ)をAmazonが買収していたことから、何かしらの「温かみ」を提供できるサービス展開を考えていることは想像に難くありません。
小売業の低迷はECではなく、むしろECを活用したCtoCビジネスが台頭してきていることが原因です。そして、日本の小売業ではステップ・バイ・ステップでEC化が進んでいるおかげで、インターネットにおける消費に対して小売業者が具体的なアクションを取りきれていません。このような点に注目すれば、ECを通じて既存の小売業に大きな変化をもたらすという可能性を見出すこともできるはずです。
EC業界は実店舗と比べるとトレンドの流れや成長の速度が早く、ECの業界ニュースを追いかけ続ける必要があります。常にEC業界のニュースをキャッチして、自社の成長につなげていきましょう!
と思っている方。
アメリカのショッピングモール型ECサイト「amazon」や中国のショッピングモール型ECサイト「アリババ」の躍進により、Eコマース(電子商取引)の規模は年々巨大化し、大小の規模を問わず日本市場にもEC化の波が押し寄せつつあります。
一方、消費者の買い物がインターネットを通じてますます便利になっていく中で、大手百貨店や個人店経営者のEC化率の低さから、ECにうまく対応できない小売業者についての議論も大きくなりつつあり、このままではEコマースに飲み込まれてサービスが成り立たなくなるという声も聞こえてくるほどです。
これまでに類を見ないスピードで市場規模を拡大し、小売業者と消費者に影響を与えているEコマースは時として悪者のように表現されることもあるほどですが、これだけ消費者に受け入れられているのには理由もつきものですし、実店舗経営にも生かせるヒントが隠れているかもしれません。
そしてなにより、
Eコマースは小売業を大きく変化させる影響力を持っているものの、既存の実店舗経営を破壊する存在ではない点も注目すべきでしょう。
今回はそんなEコマースと小売業、特に実店舗での商取引との関係や、これからのEコマースのもたらす可能性についてご紹介します。
Eコマース、というとどこか難しく感じるかもしれませんが、概要を押さえるだけならハードルは高くありません。
まずはこの記事でざっくりとEコマースについて理解していきましょう!
- Eコマースとは
- Eコマースの発展形、Mコマースとは
- EコマースとMコマースの違いから見るライフスタイルの変化
- Eコマースの現状
- 日本におけるEコマースの影響
- Eコマースと実店舗の違い
- 一強となったAmazonの展開するEコマース
- Amazonも悩ませる店舗体験の強み
Eコマースとは
「eコマース」とは電子商取引のことを言います。「eコマース」の「e」は、「Electronic」の省略で、「eコマース」を正式に言うと、「Electronic Commerce」のこと。
予備知識ではありますが、「eコマース」の「e」に小文字が当てられている理由は、科学で使われる電子(electron)が通常「e」と小文字で表現することが由来になっていると言われています。
そして「eコマース」つまり電子商取引を具体的に言うと、
インターネットなどのネットワークを介して商品情報を発信し、契約(売買契約等)や決済などを行う取引形態のことで、インターネットでものを取引することの総称となります。
さらにこのメディアのタイトルにもある「EC」は「Eコマース」の略称です。
“eコマース=電子商取引”は以下の通り、3つに大別することができます。
- 企業同士の取引(BtoB EC)
- ネットショップのような、企業と一般顧客間の取引を(BtoC EC)
- オンラインオークションなどの顧客同士の取引を(CtoC EC)
Eコマースの発展形、Mコマースとは
Eコマースを発展させたものとして、Mコマースがあります。Mコマースはモバイル(Mobile)コマースのことで、従来はPCからアクセスしていたECサイトにスマホやタブレットなどのモバイル端末からアクセスし、Eコマースと変わらない商取引を行うものです。既に顧客はスマホを持ち、日々検索を行い、商品購入と決済をモバイルから行っていますが、これはEコマースというよりMコマースといえます。
Eコマースとの大きな違いは画面の大きさやデータ容量の制限などがデメリットになるかと思いますが、タブレット端末の普及や次世代通信規格の5Gの登場によって、EコマースとMコマースの差はなくなっていくと考えられます。
EコマースとMコマースの違いから見るライフスタイルの変化
Eコマースは電子商取引全般をさします。中でもモバイル端末を使用して商取引を行う場合はMコマースと称します。つまり、MコマースはEコマースの発展形であり、Eコマースの1カテゴリーといえます。
EコマースはPCでの利用、Mコマースはスマホなどの携帯電話、タブレット端末、PDAなどから利用されています。
Mコマースは携帯できるモバイル端末によって行われるため、PC利用のEコマースより日常的で、場所や年齢などが広範囲となったのも特徴です。場所にこだわらず、電車や車などの移動中でも購買行動が可能となりました。
インターネットが携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などの普及によって一般的に広がり、個人でもECサイトの構築が簡単にできるようになりました。BtoC、BtoBだけでなくCtoCの商取引市場も拡大しています。
個人の生活環境だけでなく、ビジネスにも大きな影響を及ぼしているのです。
実店舗での購入と違い、EコマースやMコマースではいつでもどこでも買い物ができます。価格や商品機能の比較を、様々なECサイトで行い、口コミやレビューを吟味して、納得のいく購買ができるのもEコマースの特徴です。
ここまでで、Eコマースのざっくりとした概要はつかめましたでしょうか。次は、Eコマースの現状を見ていきます。
Eコマースの現状
Eコマースと小売の関係を考える上で、まず重要になるのが小売業のEC市場規模とEC化率が大きくなり、商取引額が増えたことです。拡大するEC市場
経済産業省が発表しているEC関連のデータによれば、まずBtoCのEC市場規模は2016年の時点で、15兆1,358億円。前年比にして約9.9%の増加ということになります。オンラインでの通信販売における商取引額は実感できるレベルで大きくなってきている理由はこの伸び率にあります。
参考:http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-2.pdf特に物販分野では市場規模の伸び率が10%を超えており、来年以降も同レベルでの伸び率、あるいはそれ以上の規模の拡大が見込まれています。 市場規模の拡大は物販だけでなくサービス業やデジタル分野でも拡大が顕著で、10%こそ達しないものの8~9%の伸び率となっており、いずれは10%を超えると推測することができます。企業のEC化もそうですが、EC事業者の数が増加していることが理由として大きいでしょう。
物販のEC化率ですが、2015年度は4.75%、2016年度は5.43%となっており、EC化そのものも徐々に推進されていることがわかります。EC化率が進めば進むほど、物販のEC市場規模の伸び率もますます増加していくことになるでしょう。デジタル分野の取引よりも、食品や日用品をはじめとする物販系分野の取引が通信販売の主流となりつつあるのです。
ちなみにECの市場規模に関していえば、日本は国際的に見れば比較的緩やかな成長を見せている国の一つに分類することができます。EC市場の伸び率が特に顕著なのは中国やインド、シンガポールといった成長性のあるアジア諸国で、ICT産業の発展と経済成長の著しい国ではEC規模の伸び率はどこも20%を前後するほどの勢いを見せています。
もちろんアメリカも経済成長しているIT超大国ですので、EC市場は同レベルの成長率を更新していることは覚えておくべきポイントです。
日本におけるEコマースの影響
こういったデータからまずわかるのは、IT発展の著しい国ならまだしも、少なくとも国内においてはまだまだECの影響力はそういった国々に比べて低く、ネットショップに手を出さずとも実店舗経営でも十分小売業として成り立つ環境が維持されているということです。 確かにEC市場規模の拡大は事業者にとって衝撃的なデータであるかもしれませんが、それでも他国に比べて各業界で大きな議論が巻き起こるほどの伸び率とは言い難い数字と言えるでしょう。(※ICT産業:情報通信に関する技術の産業)CtoCを活気づけるEC
続いてCtoCにおける商取引市場規模も確認しておきましょう。BtoCの小売業を営んでいる事業者にとって脅威となるのはECそのものではなく、むしろCtoC市場が利便性の高いスマートフォンやフリマアプリの普及でこれまでより拡大し、BtoCの縮小とEC業界の増進を促している側面があることは注目すべき点です。これまでのオンラインでの取引といえば
- ユーザー向けにショッピングカートを設け、管理画面から設定できるようにする
- 注文時のトランザクションを行えるようシステムを構築する(トランザクション:複数の商品データ処理をまとめること)
- 商品情報ページを見やすくするためのデザインを管理画面でできるようにする
- Googleアナリティクスを使ってトラッキングコードを設定、インプレッションを測定する
- 測定したインプレッションをもとに、プロモーションデータの追加情報をページに入れるなどの対策をする
前述の経産省の調査資料にもCtoCについての言及が見られ、「シェアリングエコノミーの登場」に紐つけて消費者の消費の変化について語られています。
資料によれば、BtoCからCtoC市場への変化はすでに消費者の手元にあるモノやサービスをシェア利用するためのシステム・消費関連サービスが十分に構築されたことによって大きな変化をもたらしたとしており、シェアが行き渡ったシステムにBtoCの入り込む余地は少ないと見ることができます。
こういったことから、日本人が実店舗でものを買わなくなった理由にはECの登場よりも、シェアリングエコノミーが構築され、徐々に一般層に浸透していることが大きな理由として考えることができそうです。
オンラインでの販売サイトが増加したというよりは、情報通信技術の発達によって消費関連企業とサービス系分野が成長し、ユーザーのニーズに応えてくれる存在となったことが国内EC市場の発展に寄与しているのです。
Eコマースと実店舗の違い
次はEコマースと実店舗による物販の違いも整理しておきます。この二つの販売形態で異なるのは、Eコマースの場合は購入者が店舗に足を運ばずとも欲しい商品を買えてしまう点です。ネットショッピングの強みは「店舗では満たせないたくさんのニーズを満たす」こと
既製品のペットボトルの水やジュース、ティッシュペーパーといった日々の生活で消費し、かつ品質に違いが生まれない日用品の買い物の場合、間違いなく実店舗に比べてEコマースが有利と言えるでしょう。なぜなら実店舗を訪れるメリットが生まれにくいためです。確かに家から歩いて1分くらいの場所にスーパーがあったり、仕事の帰り道に安く購入できるお店が存在する、あるいは緊急で10分以内にそれを手に入れたいということであれば実店舗に利があるかもしれません。
しかしEコマースは平時の買い物において大きなアドバンテージを有しており、
- ちょっと遠くへ行かないと買えないものが欲しい
- 持って帰るには重すぎるものが欲しい
- すぐではなくとも購入から1~2日くらいで家まで午前中に持ってきて欲しい
アパレル産業は比較的EC消費を行いにくい分野であると言われますが、ZOZOTOWNの躍進を見れば消費者が機能の便利さを優先して利用していることは明らかでしょう。
加えて即日配達やトラッキングコードの導入によって、運送会社のような消費関連企業が消費者側にとって非常に使い勝手の良い存在になったことも、化粧品やアパレル産業のような、ECではやりづらかった事業が成長している理由として数えられるでしょう。
また、実店舗と比べて決済ステップが多様なのもECのメリットです。例えば、
- クレジットカード
- コンビニ支払い
- 代金引換
- Paypal
- 銀行振込
一強となったAmazonの展開するEコマース
最近ではAmazonのお急ぎ便に対抗してヨドバシカメラなどの量販店が即日配送などの利便性アップへアクションを取り続けているものの、電化製品に限らずあらゆる商品がワンクリックで購入できてしまうAmazonにはまだまだ利便性の点では追いつけていません。ましてや、個人店ではまともにAmazonに対抗すれば太刀打ちはできないでしょう。ECが避けられてきた理由として悪徳販売者の存在もありますが、Amazonブランドはそういった警戒心の高い消費者に安心感を与える効果すら生んでいると言えます。とはいえAmazonのようにブランドがある大手ECも未だ対応しきれていないデメリットを抱えています。それは実店舗がないことによる店舗体験の欠如です。
Amazonも悩ませる店舗体験の強み
消費のほとんどがECでまかなうことができるとはいえ、店舗で商品を買いたいというニーズはまだまだ存在します。単に商品データがたくさんあるECサイトが小売の頂点に立つわけでもありません。そのため、実店舗が無くなることは少なくとも今後十年はないと考えられています。Eコマースにはできない価値の提供
例えば本屋の存在です。本も電子書籍の登場で紙の本が危ぶまれているとはいうものの、実店舗としての本屋は無くならないという意見もあります。というのも、本屋は単純に本を買う場所以上に、本と出会う場所としての店舗体験を提供することも価値で、それをサービスの一つとして提供しているからです。AmazonのようなECショッピングでは、あまりの商品の多さにじっくりと本を品定めする余裕を与えてくれません。Amazon Booksが実店舗でオープンしたのも、そういった店舗体験も抑えなければならないというAmazonのニーズがあったからこそのプロジェクトであることが考えられます。
情報化を推進し、あらゆるものが可視化されてしまったが故に生まれつつあるニーズと言えるでしょう。
あるいはオーガニック食品やハンドメイド製品の温かみも、実店舗、あるいは個人経営ならではの消費者の店舗体験と言えます。簡素なネットショッピングではなく、温かみが売りである商品には実店舗との相性が良いと言えるでしょう。大手オーガニック系スーパーマーケットであるWHOLE FOODS(ホールフーズ)をAmazonが買収していたことから、何かしらの「温かみ」を提供できるサービス展開を考えていることは想像に難くありません。
ECは敵ではなく、むしろ実店舗を支える大きな味方となりうる
以上の点から、ECは必ずしも小売市場の全てを掌握する力は持っていないことはわかるかと思います。むしろ、ECは上手に活用することで、実店舗経営の業務を手助けする力を秘めていることも理解することができるのではないでしょうか。小売業の低迷はECではなく、むしろECを活用したCtoCビジネスが台頭してきていることが原因です。そして、日本の小売業ではステップ・バイ・ステップでEC化が進んでいるおかげで、インターネットにおける消費に対して小売業者が具体的なアクションを取りきれていません。このような点に注目すれば、ECを通じて既存の小売業に大きな変化をもたらすという可能性を見出すこともできるはずです。
EC業界は実店舗と比べるとトレンドの流れや成長の速度が早く、ECの業界ニュースを追いかけ続ける必要があります。常にEC業界のニュースをキャッチして、自社の成長につなげていきましょう!